みなさんこんにちは。昨日嬉野流を指してみたら、相手も嬉野流をしてきて相嬉野流になってしまった藤原です。
今日は将棋年鑑のことについてちょっと書こうと思います。取り上げるのは戦型別索引について。年鑑に収録される棋譜を戦型別に分けるのですが、なんせ500局以上もある棋譜を一つ一つ見ていかないといけないので意外に大変です。
(去年の戦型別索引)
分ける側としてはなるべく「その他には分類しないように」と心掛けているのですが、そうそうきれいに分かれることもなく、頭を悩ませることが多いです。
というわけで(?)、ここで勝手に去年の戦型別索引をもとに私の独断と偏見で、戦型の分類の難しい棋士トップ3!を発表したいと思います。
第3位 糸谷哲郎竜王
第3位は糸谷先生。デビュー当時からいろいろな話題で将棋界をにぎわせてきた糸谷先生。大学院で哲学を専攻するなど異色の棋士として知られていますが、やはり将棋の内容でも一風変わった将棋に。得意の一手損角換わりでもさまざまな工夫を見せています。
去年の中で印象に残っているのが下の局面。佐藤康光九段との棋王戦ですが、△3二銀~△3一金~△4四角!が意表の構想。結果は残念ながら負けてしまったものの、序盤から意欲的な構想を見せていただきました。
なお今年の将棋年鑑では、巻頭特集としてロングインタビューがありますのでそちらもお楽しみに。
第2位 山崎隆之八段
第2位は山崎先生。作業をしながらもはや「その他」に入らない方が珍しいのではと思ってしまったくらいでした。それだけ型にはまらない序盤を指されているということで、棋譜を並べていても楽しいプロ棋士の一人でもあります。
下の局面は去年の年鑑から。一手損角換わりに対して端に飛車を回る趣向を見せます。
対戦相手が糸谷先生というのも面白いところです。ただ結果は糸谷先生の勝ち。やはりなかなか独創的な序盤で勝つのは難しいということでしょうか。
そして第1位は・・・
第1位 佐藤康光九段
第1位はやはり(?)佐藤康光先生。居飛車から振り飛車まで何でも指しこなされますが、それぞれの戦型においても定跡に挑戦する指し方が随所に見られます。去年の収録局では深浦先生とのA級順位戦。
2筋を放棄して△5三銀!が大胆な作戦。以下▲2四歩△同歩▲2三角△2五角から力戦となりましたが、結果は佐藤先生の勝ち。大胆に指しながらも緻密な戦略が隠されているということなのでしょうか。アマチュアではなかなかまねできない将棋ですが、序盤から見ていてワクワクする将棋なのは間違いないでしょう。
というわけで、トップ3を発表してみましたがいかがでしたでしょうか。分類は大変ですが、なんだかんだで1年の戦型の動向が分かるので楽しい作業でもあります。
ちなみに今年の索引では新しく後手横歩取りとダイレクト向かい飛車の分類を足してみました。うまくいっているかどうかは分からないですが、ぜひ棋譜鑑賞の際には活用していただきたいです。ではでは。