渡部記者の将棋三昧@私的ポカのメカニズム | マイナビブックス

価値ある情報を幅広く紹介。将棋の「知りたい」はここで見つかる

マイナビ将棋編集部BLOG

週刊将棋

渡部記者の将棋三昧@私的ポカのメカニズム

2015.02.12 | 

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 週末出張だったため、火曜日は代休。せっかくなので都名人戦の予選に参加してきました。
 予選は最大16人で行い、1人だけが後日行われる決勝トーナメントに出場できるシステムです。
 
 初戦はシード、2回戦は横歩取りで快勝し迎えた準決勝。相手は一部で有名な真剣師の方です。
 こちらだけ堅く組み上げて作戦勝ちから、相手の仕掛けにうまく反発して先手優勢に。我ながらほれぼれする指し回しですが、問題は私がポカの名手ということです。今回はどのような過程でポカを指すのかが題材。先手が私です。



 図は3八の龍を4九へ入ったところ。代えて△5八角成▲同銀△同龍は▲7一角打△9二玉▲9五歩くらいで勝つでしょう。その読み筋の蓄積が要因①。
 要因その2は図の2手前、角を1七に引いたこと。2六に引けば△1九龍が角に当たらないのが得なのは分かっていたのですが、何となく形で引いて図で少し後悔します。要因②。
 私の棋風は受け8分くらい。明らかに優勢を意識している局面なので、丁寧に受けて勝ちたいというのが要因③。
 図で▲6八金右が普通ですが、後手からは①△7八角成②△1九龍③△3六角成の3手段があります。冷静に見れば何でもないのでそちらを選んで大差ですが、優勢なので余計な手段を与えたくないと思ったのが要因④。
 長考して(不幸にも時間が残っていました)、何もさせないと、▲2九歩が大ポカ。△1九龍を消して、△5八角成とさせて▲7一角打で勝とうという勝手読みです。実戦は△5八角成▲同銀に△8九金をうっかり。図の少し前の読みで、△5八同龍と取る一手と思いこんでいました。以下▲9八玉(▲9七玉は△5八龍が詰めろ)△9九金▲9七玉△5八龍▲7一角打△9二玉で、手駒がない上、端歩も突けないという酷い状況。次に8二に駒を埋める手があり、こうなっては先手が勝てず、お約束の大逆転負けとなりました。
①読みの蓄積による思いこみ
②直前の次善手を必要以上に後悔
③優勢を意識しすぎる
④読みの枝葉を簡単に打ち切る
 今回のポカはこのような原因で発生しました。仮に秒読みであったなら読みの精度は落ちるものの、この種のポカは出にくいでしょう。こういった形で言語化することで自身の反省材料にしていきます。