教育・医療・Biz iOS導入事例

従業員全員で実践する「Apple Watchで健康管理」

文●牧野武文

Apple的目線で読み解く。ビジネスの現場におけるアップル製品の導入事例をレポート。

ヘルスケアアプリ「グッピーヘルスケア」を展開するグッピーズが、全従業員にApple Watchを配付した。結果、一人一人の健康活動に対する意識が高まっただけでなく、社内でも「健康」が話題の1つとなったという。医療系人材サービス、ヘルスケアサービスを行うからには、まず自ら健康経営を。Apple Watch導入の核心に迫る。

 

米国とは異なる日本の健康経営

株式会社グッピーズが開発したヘルスケアアプリ「グッピーヘルスケア」は、新しい福利厚生を提案している。

近年、「健康経営」「ウェルネス経営」という言葉をよく目にするようになっている。従業員の健康増進を経営課題のひとつとして意識することで、医療費負担の軽減と生産性向上を狙ったものだ。米国は公的な医療保険がなく、企業は民間の医療団体保険に加入しているため、医療費と保険費用負担の軽減は大きな経営課題になっている。これを解決するのが健康経営で、企業は従業員の健康状態を管理し、健康活動を業務の一環として従業員に遂行させる。

この健康経営が日本にも入ってきているが、日本の場合、米国型とは少しニュアンスが違う。公的医療保険がしっかりとしているので、医療費、保険費用の負担軽減は最重要の経営課題というわけではない。むしろ、従業員に健康になってもらうことで社内の空気を明るくし、やる気を出してもらう。大げさに言えば、従業員に幸せに働いてもらうことが最大の目的で、その向こう側に人材確保や生産性向上という効果が生まれてくることを期待する。そのため、健康管理、健康活動を業務の一環として強制するのではなく、従業員の自発的運動として奨励し、その活動を促し、支援したいと考えている企業が多い。

グッピーヘルスケアは、このような日本的な健康経営にフィットしたヘルスケアアプリだ。iPhone向けにはさまざまなヘルスケアアプリが存在するが、グッピーヘルスケアの特徴は健康関連の項目がほぼ網羅されたオールインワンアプリになっていること。歩数、ランニング、体重、エクササイズといった基本的な健康活動から、食事記録、飲酒量、喫煙、睡眠、健診、メンタル、生理、ダイエットといった項目までカバーしている。

また、記録も簡単にできるように工夫してある。歩数や距離、消費カロリー、経路などは、iPhoneの「ヘルスケア」アプリとデータ連携しているため自動記録される。睡眠時間はアプリ内のアラームをセットすることで自動計算、食事記録も食事の写真を撮影するだけで、日付順に自動整理するといった具合だ。

 

 

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従業員の健康増進・健康維持を目的にアップルウォッチを全社導入したグッピーズ。導入してまだわずかだが、健康意識の高まりや、コミュニケーションの活性化などの効果が見られるという。

 

 

健康活動を促す健康ポイント

さらにユニークなのが「健康ポイント」だ。健康活動をするたびにポイントが貯まっていき、現金またはアマゾンのギフト券に交換することができる(法人版のみに搭載)。たとえばアプリを起動すれば10ポイント、歩数が1万歩を超えると10ポイント、食事を記録すると10ポイントなどだ。

「契約コースがエントリー、ライト、レギュラーと3種あり、それぞれで付与されるポイントが異なります。レギュラーコースで普通に使っていれば、毎月3000ポイント前後は貯まります」(グッピーズ・ヘルスケアチームリーダー・寺田沙也香氏)

健康活動のインセンティブ(動機付け)のためにポイントや景品を導入しているヘルスケアサービスは多いが、グッピーヘルスケアの場合、「健康活動をすると自然とポイントが貯まる」仕組みになっている。つまり、多くは「健康活動の成果」に対して報酬を与えるという考え方であるのに対して、グッピーヘルスケアは「健康活動をすること」そのものに対して報酬を与える。

「カタログギフトような景品をインセンティブにするというアイデアも出ましたが、それはなにか違うと反対の声も強かったのです」(グッピーズ・ヘルスケアチーム・佐藤愛沙氏)

健康活動は、ご褒美目当てにやることではない。気軽に健康活動をしてみたら、いつの間にかポイントが貯まって、それが継続するためのインセンティブになるというのがグッピーヘルスケアの考え方だ。

 

健康が話題の社内

このような地に足のついた発想ができたのは、アプリを作るだけでなく、まず率先して自分たちがアプリを使ってみるということをしてきたからだ。

「弊社では医療系人材サービスも展開していますが、お恥ずかしながら社員一人一人の健康活動意識は特に高いものではありませんでした。皆よく食べますし、よく飲みますし(笑)。定期的な運動が習慣化されていない社員もいました」(寺田氏)

しかし、グッピーヘルスケアを使うようになり、社員の健康意識が高まってきたという。そして、グッピーヘルスケアがアップルウォッチ対応になるのを機に、健康維持・増進を目的に20数名の社員全員がアップルウォッチを使い出した。

「健康活動への関心がさらに高まりました。たとえばアップルウォッチのスタンド機能(立ち上がって1分以上体を動かす)は、みんな気にしてやるようになりましたし、1日の活動量や歩数も頻繁にチェックするようになりました」(寺田氏)

  「アップルウォッチを着けたことで休日の健康活動も意識するようになりました。スタッフ間で互いのアクティビティ情報を共有しているので、自分は自宅でくつろいでいるのに、同僚のアクティビティ情報のリングが動くと、まずいと思ってウォーキングに行きます」(佐藤氏)

さらに、アップルウォッチを全社導入した最大の成果は、オフィスで健康活動の話題が自然に出るようになったことだという。健康活動が日常的な話題の1つになることで、それまで健康活動に無関心だった人も気にするようになる。

「経営者としては社員全員が健康になってほしい。でも、不健康な人ほど健康活動に消極的だったり、場合によっては反発する傾向にあるんです。そういう人をどうにかしたいという思いがありました。アップルウォッチを全員に配付することで、それが自然に解決されるのであれば、これほど素晴らしいデバイスはほかにはないと思います」(グッピーズ代表取締役・肥田義光氏)

 

 

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グッピーズ代表取締役・肥田義光氏。

 

 

頑張らなくていいアプリ

グッピーヘルスケアの今後について尋ねると、コンテンツの充実とヘルスケアの範囲を広げる進化をさせていきたいという。すでに、人工知能チャットによる健康相談やレシピ、エクササイズなどのコンテンツを常時追加している。

さらに、有給休暇を含め、従業員がきちんと休むことを促す機能も追加していきたいという。リモートワークなどが広がっていくと、働き方の自由度は高くなるものの、本人が意識をしないと、自宅でもカフェでもどこでも24時間仕事をしているということになりかねない。

「GPSやアクティビティ情報から、仕事をしているか、休んでいるかはある程度推測ができます。そういう情報から、働きすぎですとか有給を消化しましょうといったアドバイスができる。従業員のメンタル面とフィジカル面両方の健康づくりのサポートやアドバイスをするアプリに育てていきたいですね」(肥田氏)

すでに業種を問わず30社以上がグッピーヘルスケアを法人導入している。また、個人で利用する場合は無料でアップストアよりダウンロードできる。アプリを入れて、1日1回起動するだけで、健康に対する意識は違ってくる。グッピーヘルスケアは、頑張らなくていいヘルスケアアプリであり、それが日本の企業文化にフィットしている。

 

 

 

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グッピーヘルスケア-ダイエット&健康管理

【開発】GUPPY's Inc.
【価格】無料
【場所】App Store>ヘルスケア/フィットネス

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グッピーヘルスケアは、iPhone版とAndroid版がある。個人で利用する場合は無料。法人導入の場合は、3つの有料コースから選択。健康活動に関するすべてが1つのアプリで記録できる。

 

 

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グッピーズ・ヘルスケアチームリーダー・寺田沙也香氏(左)。同ヘルスケアチーム・佐藤愛沙氏(右)。働く人にとって、体は資本。グッピーヘルスケアで、メンタル、フィジカル両面の健康をサポートしていきたいと語る。

 

 

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Apple Watchで計測した歩数や心拍数、ウォーキング、サイクリング、などの各種データは自動的にグッピーヘルスケアアプリにも記録される。また、Apple Watch上で体重やお酒、睡眠、喫煙も手軽に記録可能。

 

 

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Apple Watchでは、エクササイズ動画の再生にも対応している。動画を見ながら簡単な運動(ラジオ体操や筋トレ、ストレッチ)ができる。

 

グッピーズのココがすごい!

□ヘルスケア事業を推し進めるにあたり、まず自分たちでヘルスケア改革
□健康活動をするたびに貯まったポイントは現金やアマゾンのギフト券に交換可
□□Apple Watchを全従業員に配付、社内全体での健康意識が変わった



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