2018.06.11
Blast from the past ── あの頃の懐かしい思い出
マウスの育ての親としてのMac
マウスの発明者は、スタンフォード研究所のエンジニアで、世界初のオンライン・コラボレーション・システムであったNLS(oN-Line Systemの略)のデモなども行ったダグラス・エンゲルバートである。しかし、彼のマウスは直交する軸を持つ、独立した2枚の円板の回転によって移動量を検出するもので、後のボール式のものとは異なっていた。
ボール式マウスは、1973年に開発されたゼロックスのパロアルト研究の実験機のALTOや、1981年に同社が発売したオフィス・ワークステーションのSTARに採用されたが、より本格的な民生機への普及は、AppleのLisaやNECのPC-100、そして、Macintoshの登場を待たねばならなかった。そして、マウスの生みの親はエンゲルバートだったとしても、育ての親はMacであったと断言できる。
当時の僕は、さすがに身近な場所にLisaはなかったものの、アルバイトしていた某シンクタンクにPC-100があって操作する機会に恵まれ、両者のマウスの間に越えがたいギャップがあることを感じていた。