アラカルト Macintoshビギンズ

ビジネスライクさに賛否両論出たMac IIとSE

文●大谷和利

Blast from the past ── あの頃の懐かしい思い出

ジョブズのデザイン遺産

1985年にスティーブ・ジョブズは、自身でペプシコーラの社長(当時)からヘッドハントしてApple Computerの経営面を任せていたジョン・スカリーと対立し、同社を去ることになった。当時は、インターネットもなく、ひと月遅れで到着するような海外の専門誌が情報源だったうえ、情報自体が錯綜して、ジョブズが辞めた理由もはっきりしないところがあった。しかし、いずれにしても、創業者の1人で、Macintoshチームを率いていた人物がいなくなるというニュースには、日本のAppleファンも衝撃を受けた。

もっとも大きな関心事は、彼なき後のMacがどうなるのか?ということだった。翌1986年に発表されたMacintosh Plusは、この連載コラムの8回目でも触れたように、初代モデルの基本デザインを引き継ぐ形で登場し、ある意味で安心したものの、その1年後に登場したMacintosh SEとIIには、かなりの違和感を覚えた。それは僕だけではない。当時のApple Japanのスタッフも含めて、この2つのニューモデルを初めて見た人は、その直線的でビジネスライクな外観や、ジョブズが嫌った拡張スロットを備えたオープンな仕様に驚きを隠せなかったのである。

確かに、初代Mac~Mac Plusは、その可愛らしい外観が「Macはオモチャ」との風評につながる要因ともなり、質実剛健的なデザインを貫くIBM PCが台頭する市場に受け入れられるためには、やむを得ない変化だともいえた。加えて、SEやIIのデザインは、実際にはジョブズがその才能を見込み、巨額の契約金を支払って専属化した西ドイツ(当時)のフロッグデザインが手がけたものであり、彼の嫌った拡張性を除けば、その意志が反映された遺産的なところもあった。

 

堕落か、進歩か

Macintosh SEは、初代Macのイメージも残しつつ、フロッグデザインが規定した「スノーホワイト」と呼ばれるデザイン言語(デザインに共通性を持たせるためのルール)に基づいた細かなスリットを持ち、これが精密感を与えるとともに、冷却気の吸い込み口という機能性を担っている。Mac Plusまではなかった電動ファンを内蔵し、動作の安定も図られたが、コアなMacユーザの目には、この点もある種の堕落と映った。




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