アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第11回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

脳がケチだから、中トロから食べる

 「あと人生が半月しかなかったら何をするだろうか?」

今、書いている書籍のテーマである。

受験シーズン真っ盛り。テストのとき、残り時間が1分になったらどうするだろうか? もし、タイマー式の時限爆弾を解体中、残り時間が1分になったらどうするだろうか? そんなことをよく考える。

テストだったら答えを見直したり、最後まで解こうと脳がフル回転になるだろう。爆弾処理中だったら、映画のように赤い線を切るか? 青い線を切るか? 最後まで悩むだろう。そして3秒前ぐらいで青いほうを切るような気がする。そう、人はギリギリに追い詰められると懸命にもがく。

だからボクは、いつも人生が、残り半月しかなかったらと思って生活をしている。そうギリギリに追い込んでいるのだ。ケチなので余裕は敵である。「この人に合うのは最後かもしれない」「親には何をしてあげられるだろうか?」などと思っている。

ご飯を食べに行っても「残り半月だったらこのファーストフードには入らない」と思って、できる限り美味しい料理を食べる。できる限り一番好きなものを注文する。お鮨屋さんでも「中トロ」から食べる。ケチだからより美味しいものから食べるのだ。だって、お腹いっぱいになったら中トロは美味しくないだろう。きっと。

ケチだから少しでも美味しい料理を食べたいのだ。だからアシスタントA嬢からは「そんな考えだから太るんです(キッパリ)」と怒られる。

今朝も面倒くさかったがジムへ。「あと半月しかない。こんな体型では情けない。死ぬときぐらい痩せていたい」と急に思ったのだ。厳しいトレーニングをする。

以前は、「面倒だ」と思っている仕事もあったが今は違う。「この8分間で企画書をちょっと書こう」「2分あるから本の一節を書こう」と思う。分単位で仕事ができるようになった。

ボクはケチだからゲームやパチンコはやらない。仕事での成功のほうが気持ちがいいからだ。




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