2017.12.13
Blast from the past ── あの頃の懐かしい思い出
うれしい驚きのアップグレード
今、macOSでもiOSでも、あるいはtvOSでもwatchOSでも、AppleのOSのアップデートは無料で提供されていて、ユーザはそれが当たり前だと思っている。
しかし、実はMacintoshに関しては、Mac OS Xになってからもしばらくの間、バージョンアップは有償だった。無償化されたのは、2013年にリリースされたOS X Mavericksからで、それ以前には新バージョンにするだけで1万円以上かかることもあったのだ。
iOSにしても、まだiPhone OSと呼ばれていた初期の頃には、iPhoneユーザのバージョンアップは無償でも、iPod touchのユーザは有償というように扱いが異なっていた。
有償にせよ無償にせよ、デバイスを買い換えずにアップグレードという手段によって最新機能が使えるようになるのは、ソフトウェアならではのメリットだ。
ところが、Appleはかつて、有償ながらハードウェアにもアップグレードの道を用意していた。古くは、Apple IIのときにも機能拡張されたApple IIeへのアップグレードキットを販売したり、非常にレアなケースとしては、マルチメディア対応が図られ筐体デザインもまったく異なるApple IIGSの機能をApple IIeに与えるアップグレードサービスも行っていた。
したがって、Appleにとっては、1984年発売の初代Macintoshに対しても、翌1985年にデビューした上位機種のMacintosh 512や、1986年に登場したMacintosh Plusへのアップグレードを用意するのは当然の流れだったのかもしれない。だが、それまでの日本製品しか知らなかった僕にとっては、コンピュータのハードウェアにアップグレードサービスがあるということ自体が驚きだった。