2017.11.04
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iPhone 8/8 PlusやiPhone Xの新機能として搭載された「ワイヤレス充電」。国際標準規格「Qi(チー)」が採用されており、すでにこの充電方法に対応する充電器は数多く存在する。来年発売予定のApple純正充電器「AirPower」を前に、ワイヤレス充電のポイントを押さえておこう。
アップルウォッチの充電は?
iPhone 8/8プラス/Xに新機能として搭載され、話題となったワイヤレス充電。対応する充電器の上にiPhoneを置くだけで充電でき、従来のようにライトニングケーブルを接続する必要がない。
この充電機能の規格には国際標準である「Qi」が採用されている。まず、アップルが採用したQiについて、詳しく見てみよう。ワイヤレス充電を行う技術は、電磁誘導方式と呼ばれるものを基本としていて、電力の送信側と受信側にそれぞれコイルを置き、送信側に電流を流すことで受信側コイルとの間に「磁束」を発生させ、2つのコイルを結合させて電力を送る仕組みだ。実用化されたばかりの頃は、各社が独自にワイヤレス充電機器を開発していたため、異なる企業や製品間で互換性がなく、機器ごとに充電器を設置する必要があった。そんな中、2008年にワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium、以下WPC)が起ち上げられ、相互利用可能な国際標準規格を策定することになった。そこで2010年7月にされたのがQiだ。
Qiは給電能力を大きくするべく現在も規格のバージョンアップが進んでいる。最初に策定された「Volume I Low Power」では最大5W、磁界共振を一部取り入れた「Standard Power Profile」では最大7.5>W(5V/1.5A)の電力を供給できる。現状、iPhone 8/8プラス/Xは5Wでのみ充電可能だが、将来的にiOSのアップデートによって7.5Wの電力で充電できるようになる。iPhoneに付属している電源アダプタは5W(5V/1A)なので、その時点でワイヤレスながらライトニングケーブルでの給電能力を凌駕することになる。しかし、非接触充電のために有線に比べると効率が悪く、単純に充電時間が早くなるわけではないことを覚えておこう。
アップルは以前にもワイヤレス充電に対応した製品をリリースしている。そう、アップルウォッチだ。初代アップルウォッチからアップルウォッチも・シリーズ2はQiの「マグネット方式」を採用しているが、MFiライセンスを取得した充電器による充電のみをサポートしているため、残念ながらQi規格の汎用充電器では充電できないそうだ。
ただし、アップルウォッチ・シリーズ3に限っては、来年発売予定のアップル純正ワイヤレス充電器「エアパワー(AirPower)」に対応する、とアップル公式WEBサイトにてアナウンスされている。しかし、アップルウォッチ・シリーズ3がQi規格のサードパーティ製充電器で充電できるかというと、そうではない。その理由は不明だが、確かに多くのサードパーティ製充電器ではうまく充電できない。エアパワー自体がQi規格かどうかも明らかになっていないが、アップルウォッチ・シリーズ3をiPhoneと同じワイヤレス充電器で充電するためには、エアパワーの発売を待つか、サードパーティから両デバイスに対応した製品が発売されるのを待ったほうがよさそうだ。
充電器にiPhoneの中央が配置されるように置くだけで充電が開始される。3mm程度の樹脂やプラスチック製のケースであれば装着した状態でも充電可能だが、アルミニウム製など、金属製の場合は充電ができないため、充電時には外す必要がある。