Macでのビジネスに効く仮想化ソリューションという解。「Parallels Desktop」はその強みを仕事の現場へと広げる|MacFan

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Macでのビジネスに効く仮想化ソリューションという解。「Parallels Desktop」はその強みを仕事の現場へと広げる

文●栗原亮

なぜ、アップルのミカタをするのか? アップル製品を手厚くサポートするハード&ソフトウェアメーカーの担当さんに、その理由を聞いてみた!

パラレルス・ジャパン
【URL】http://www.parallels.com/jp/

 

 

「ビジネスの世界にこそMacが適していると思っています」と語るのは、仮想環境ソフト「パラレルス・デスクトップ(Parallels Desktop)」(以下、パラレルス)を展開するパラレルス・ジャパンの代表取締役・下村慶一さんだ。

OS Xに標準搭載される「ブートキャンプ」のようにOSの起動を切り替えなくても、OS X上でウィンドウズなど異なるプラットフォームのソフトを扱えるパラレルス。個人で手軽に導入できる仮想化ソフトというイメージが強いが、近年はMacの法人導入が進んでいる背景もあり、ビジネス分野の伸びが著しい。すでにパラレルスのビジネスエディションは世界5万以上の企業、政府、医療/教育機関などで導入されている。

「Macの操作性の良さとウィンドウズソフト資産の豊富さといった両方の長所を活かせるのがパラレルスの強みです。ビジネスエディションおよび新たにプロエディションを設けることで選択肢の幅を広げています」

パラレルスの通常版とビジネス版の違いで大きなポイントとなるのは、使用許諾上のライセンス形態だ。通常版の場合は同一法人利用が5ライセンスまで。それ以上使う場合は、ビジネス版に切り替えることでライセンスを一括管理できるようになるなどメリットがある。費用的には通常版1ライセンス8500円からサブスクリプション契約で1万/年になるが、仮想マシンのパフォーマンス向上、開発者向けのサポートツールやビジネスクラウドへの対応、一元化された管理や一括配備への対応など企業や学校にとっては魅力的な機能が追加される。

では、ビジネスの現場ではどのように使われているのだろうか。Macを導入したばかりの企業や学校でよくあるパターンとしては、一般従業員や教職員向けに10数台以上のMac、システム管理用にウィンドウズ、ウィンドウズ向けの周辺機器があるといった混在環境だ。ここでパラレルスのビジネス版を導入すると、IT担当者がウィンドウズ用ソフトや周辺機器のドライバ設定をすべてのMacに一括で配信して展開できる。

「理工系の大学などでは、さらにリナックスなど専門的なソフトや特殊な機器を使っていることも多く、このようなマルチOS環境でもMac1台で済むためコストメリットが大きいですし、導入やメンテナンスの時間も短縮できます」(法人ビジネス部・鷲島正三さん)

また、業務内容によってはサポート切れの古いウィンドウズ環境の維持や、すべてのOS、ブラウザのバージョンで動作検証が求められる際も1台のMacで複数の仮想マシンを扱えるメリットは大きい。

「検証作業にはプレーンでセキュアなウィンドウズ環境が必要なのです。パラレルスであらかじめマスターのテンプレート環境を構築しておけば、必要な際にすぐ検証担当者に仮想マシンを配信できます。特にモバイルのゲーム開発などではこうした使い方が便利だという声を聞きます」(マーケティング部長・日下部徳彦さん)

 

PRODUCER PROFILE

代表取締役
下村慶一さん

 

マーケティング部長
日下部徳彦さん

 

法人ビジネス部 部長代理
鷲島正三さん

 

 

さらに大規模なシステム開発などでも、仮想環境の導入が浸透しつつあるという。

「サーバを仮想環境上に構築して、クライアントからの負荷テストをMacで行う用途にも使われます。パラレルスならこうしたクラサバ環境をPVMファイルをコピーするだけで作れますし、再インストールやセットアップも不要ですから作業時間の効率化が図れます」(下村さん)

ビジネス/プロ版ではマイクロソフトの「ビジュアルスタジオ(Visual Studio)」プラグインなど多くの開発ツールをサポートするなど、Macだけであらゆる環境向けの開発が実現となっているのだ。

そして、別製品の「Parallels Mac Management for SCCM」では、管理や制御の機能がさらに強化されている。マイクロソフトのSCCMのプラグインで、Macを一般的なシステム管理ソリューションで管理できる点はシステム管理者にとって朗報だ。さらに、サードパーティ製品の通知やアップデート表示をなくすこともできるので、企業内でのMac運用で課題となるコンプライアンスもクリアできる。

「“Macのことはわからない”というシステム開発会社やIT管理部門の担当者は多いのですが、むしろMacがあれば1つの環境だけであらゆるプラットフォームを管理できますし、米国などではすでにそのメリットに気がついて移行を始めた企業もたくさんあります。『クロスプラットフォームソリューションベンダー』を目指すパラレルスとしては、その良さをもっと多くの人に伝えていきたいですね」(下村さん)

 

 

ビジネス版のコダワリ

一括管理

ビジネス版では、複数のライセンスを一括で管理できるポータル画面を備えている。システム管理者はここから展開済みのライセンスをリアルタイムでアクティビティを確認できる。また、数百台以上の規模でもARD(Apple Remote Desktop)などを用いてソフトウェア環境を一括展開できるので、企業や学校でのMac導入もスムースに行える。

 

セキュリティ

セキュリティに関する機能が充実しているのもビジネス版ならではの機能だ。構成の設定には[ビジネス]タブが追加されていて、ここには暗号化のほか有効期限付きの仮想マシンの作成も行える。これにより、エンドユーザが勝手に仮想マシンの設定を変更することを防げる。さらにUSBデバイスポリシーの設定のような企業導入向けの機能も備える。

 

ソフト資産をフル活用

パラレルスの導入で、金融サービスや医療などの専門分野でしか動かないウィンドウズ用ソフト資産も、操作性の高いMacの環境だけで利用できる。異なるOS向けのソフトを併用できることで、デザイン部門はMac、システム部門はウィンドウズといったような管理コストの手間を大幅に軽減できるのがポイントだ。

 

 

PRODUCT FOCUS

iOSからリモートコントロール

iOSデバイスからParallels Access Agentがインストールされたコンピュータをリモート・コントロールできる「Parallels Access」。操作がタッチセンサによるコントロールに最適化されており、指先の操作だけでコピー&ペーストやファイルのドラッグなどポインティングデバイスと同じ動きができるのが最大の利点だ。

 

開発環境を一本化できるプロエディション

ソフト開発者やパワーユーザ向けに新たに登場したのが「Parallels Desktop for Mac Pro Edition」だ。ビジュアルスタジオプラグインで仮想マシン内のリモートデバッグを行ったり、あらゆるOS、ソフト環境での動作検証などが効率的に行えるのが特徴だ。WEB開発のクロスブラウザチェックなども1台のMacから行える。

 

MacとWinを集中管理

マイクロソフトのシステム管理ソリューションSCCM導入企業や学校の場合、「Parallels Mac Management」でMacとウィンドウズPCを一括で管理できる。これによりハードとソフトの資産インベントリの収集やOS Xイメージなどの展開が可能だ。

 

【メモリ】
仮想マシンに割り当てられるリソースもビジネス/プロ版のほうが高機能だ。仮想メモリが通常は8GBのところを64GB、仮想CPUも通常4CPUが16CPUになるなど、高い処理能力を求められる業務や科学計算などでも実力を最大限発揮できる。

 

【サポート】
サポート体制が充実しているのも、ビジネス/プロ版ならではの利点だ。土日・祝日と年末年始を除いた平日の9時から17時までの間は、日本語でサポートエンジニアの支援が電話で受けられる(メールは24時間対応)。こうした点もビジネス導入の助けになるだろう。