2016.04.12
「旅する鈴木」が世界を歩いて見つけたもの、出会った風景。
ポルトガルの古都ポルトの街から電車で30分。大西洋の浜辺に立つ小さな礼拝堂。波際の岩の上に建てられたその礼拝堂は、高潮になると波をかぶり海に沈むこともあるのだとか。その話を宿で聞いた僕らは、居てもたってもいられなくなり、ポルトの駅から電車に飛び乗った。波に呑まれる礼拝堂。そんな光景見たことがない。
到着したのは無人の駅“ミラマル”だ。傾き始めた太陽に焦りながら、僕らはいそいそと海へ向かった。すれ違う人も少なく、海辺の街は閑散としている。道の両脇に並ぶたくさんの貸し別荘が、夏の賑やかさを感じさせた。だが今は季節はずれ。僕らを迎えたのは、誰もいないビーチだった。