野呂エイシロウの「ケチの美学」第80回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第80回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

好かれるのは武器

「好かれる努力」は必要であると最近気がついた。相手に「嫌い」という感情を抱いたり、「敵」として見てしまうと、どうしても対立構造が生まれる。

それが拡大すると戦になってしまう。だから、全員を味方にする必要があるのではないか。大河ドラマを見ながら、そんなことをふと思った。

仕事相手の中に、超苦手な人がいるということがある。でも相手は僕のことを苦手とは思っていない。それをどうやって改善をするのか?真剣に考えてみる。

そう、コミュニケーションは重要だ。大河ドラマを見ていたら、関ケ原の戦いの前に“調略”があった。それは、自分を味方につけるための策略で、徳川家康も石田三成も賢明に手紙を送っていた。

その内容がぜんぜん違った。

徳川家康は勝ったときの褒美まで約束していた。一方、石田三成は徳川家康がいかに悪い奴かを書いていた。果たしてどちらの味方につくだろうか?

それは歴史が示しているとおりである。

戦国時代は、手紙がコミュニケーションの中核にあった。メールもSlackもない。もちろんiPhoneもない。手紙ひとつで戦に勝ったり負けたりする。だから好かれるために何をするかを徹底的に考えるのだ。

洋服もそうだし、体型もそうだ。あとは言葉の使い方もそうである。家族、身内への言葉遣いも気をつけている。「説明」と「報告」と「会話」を使い分ける。

できる限り「聞いてない!」をなくすことが大切だ。サプライズをなくして、早め早めにコミュニケーションを取る。「相談」を増やすことで共同作業にすることができる。それがとにかく大切だ。

いかに大勢を味方につけられるか。失敗する人は味方の数が少ない。

あとは、金払いである。豊臣秀吉はとにかく金払いがよかったという。本能寺の変で有名になった「大返し」。そのとき秀吉は高松城にいた。ご存じ「水攻め」である。

農民が土を入れた俵を持参すると、1俵に付き銭100文、米1升という高報酬を与えたそうだ。それによって、たった12日間で堤防ができたのである。そう、金払いがよければ味方も多い。それは僕も見習っている。

だから1人でも味方を増やしたい。そのために何をするかというと「人たらし」になるということである。“ビジネス界の関ケ原の戦い”は毎日ある。だから賢明に文字を綴る。とにかく感謝を込めながら。

 

土産でいただいたローソク。癒やしで心を掴まれている。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。