野呂エイシロウの「ケチの美学」第76回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第76回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

カンヌライオンズでAIを感じる

縁があって、フランスのカンヌで開催された世界最大規模の広告祭「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2023」へ足を運んだ。日本人も大活躍したカンヌ映画祭から1カ月後に開催された。もともとカンヌライオンズは映画の広告祭だったのだが、今はクリエィティブの祭典である。

世界中から広告関係者が集まり、多種多様な分野でクリエィティブを競い合っている。僕は初参加だったのだが、度肝を抜かれた。

世界は、社会問題に真正面から取り組んでいたのだ。戦争、貧困、LGBT、女性の自立などなど、さまざまな問題に立ち向かっている。一方、僕はどうだろうか?

ケチな僕は、いろいろなセッションやプレゼンテーションなどに顔を出しながら、脳内で混乱していた。視野の狭さを反省した。

ChatGPTを主軸とするAI分野に関するプレゼンテーションも結構あった。僕はケチなので、隅々までできる限り参加した。久々にものすごい吸収量である。

スポンジのように吸収している。グローバルのクリエィティブの方向性などに驚愕したというのが、正確なところである。

現地で小室哲哉さんがライブを行っていたので、わくわくしながら参加した。ライブ後に小室さんに話を伺ったところ、「楽しい」「悲しい」といった感情は分析され、将来データ化も可能なのではないか?ということを述べていた。

今回のライブでは、音楽とAIの融合ということで、演奏しているうしろに巨大なスクリーンを配置し、そこに次々とAIが作成した文字を表示していった。AIが小室さんの音楽をもとに言葉を生成しているのだという。

AIは、単純に便利だとか時短だとか、そういうことばかりが注目されているが、僕は「楽しい」と思っている。

カンヌライオンズでちょっと残念だったのは、日本の存在感である。もちろん日本からの受賞作品もあった。だが、全体として存在感が薄かった気もする。

僕自信も日本人同士固まっていた気がする。もっと世界に向けて発信が必要だ。来年はリベンジである。

 

 

AIが音楽を変える。音楽がAIを動かす。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。