野呂エイシロウの「ケチの美学」第73回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第73回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

「仕事」をやめる

最近仕事をやめて、さらにいい感じだ。仕事とは何か?ということを考える。

では、仕事をやめたらどうなるのか?というと、放送作家業もコンサルタント業も変わらず続けている。

「姿勢」の問題である。「仕事」から「仕える」に変えたのだ。

そう、クライアントさんにも部下にも仕えている。とにかく「仕える」のである。与えられた仕事をするのではない、クライアントさんに「仕える」のである。

僕は戦国時代の豊臣秀吉が好きだ。竹中直人さん主演の大河ドラマ「秀吉」も大好きである。織田信長役は渡哲也さんで、これがまた超怖いのだ。このドラマで、秀吉が信長に仕える様子が本当に好きである。

気持ちがいい。

懸命さが半端ない。

このドラマを見てから、すべてのクライアントさんが「お館様(信長)」のように思えてきた。1996年のドラマだから、僕がまだ19歳の頃に放送されたものである。僕は今でもよくDVDで見る。

「仕える」のだ。「必死に仕える」のである。

もう一つ、映画「幸せのちから」(2006年)もよく見る。自分が仕える家族と、会社のトップのために懸命に仕えてのし上がる主人公の様子が涙ぐましい。

「仕える」というのは「仕事」よりも簡単だ。そもそも「仕える事」と書いて「仕事」なのに、いつの間にか仕えることではなく、変な人間関係が生まれている。ひたすら仕えるのだ。

僕は秀吉と同じ愛知県の田舎の出身である。特に能力があるわけではない。「仕える」ことで多くの人に引っ張り上げられている。

今日も、エレベーターホールで相手が来るのを待っている。

多くの人が僕を引き上げてくれる。だから仕えるのだ。草履も懐で温めるし、土下座もできる。仕えると見えてくるものがある。仕える人が少なくなっている今、逆に仕えるのは目立つ。だから先輩方々に可愛がられる。今日も引き上げられている。仕えるのは楽しい。残りの人生は仕えようと思う。

 

 

この春も、仕える人々に花を大量に送った。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。