野呂エイシロウの「ケチの美学」第75回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第75回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

奇跡を起こす

ウェルビーイングという言葉があまり好きではない。もちろん否定しているわけではなくて、僕はアホみたいに、それこそ地獄みたいに働くのが好きだからである。皆が、のんびりのほほんと仕事している間、僕はガツガツと胃を痛めながら前進するのである。

先日、「全米プロゴルフ選手権」で、レッスンプロの無名選手マイケル・ブロックが見事15位に入賞した。快挙である。

誤解を恐れずに言えば、ゴルフ場で僕らのような素人相手にゴルフを教えていた、僕と同い年のオッサンだ。20年前のパターと10年前のアイアンを使い、見事に賞金約4000万円を手に入れたのである。ホールインワンも達成し、観客を沸かせた。いま全米でもっともホットな46歳と言っていい。

奇跡が起こったのでない。自らの手で奇跡を起こしたのである。

僕も以前は、ぼんやり空を眺めながら「成功したらいいなあー」と思っていたのだが、奇跡は一度も起こらなかった。神頼みではどうにもならないのである。

高校の頃、受験の神様で知られる某神社に1万円もお賽銭を納めたのに、残念ながら不合格だった。それまでは「運で合格できる」と思っていたのだが、そう上手くはいかないと実感したものだ。

それ以降、自分で努力をするしかないのだと理解した。自分一人でコツコツとやるしかないのだ。

その努力の先に奇跡があるのではないか?と考えるようになった。

「偏差値」や「視聴率」を上げるのに比べたら、「売上」を伸ばすのは簡単だと思う。

学生時代、10時間勉強しても偏差値は全然上がらなかったが、10時間アルバイトしたところ、すぐに1万円を稼げた。

そう、働けば働くほど自分の所得を上げることができたのである。テレビの視聴率も勉強と同じだ。面白いものを作れば視聴率が上がるわけではない。

でも、その一方でビジネスは、小さな成功を積み重ねれば、結果につながることがわかったのだ。

偏差値や視聴率は神頼みしても上がらない。努力だけでは上がらないのだ。少なくとも、僕の場合はそうだ。奇跡は起こらない。それは、仕事でもそうだ。奇跡は起こらないのだ。究極まで突き詰めて努力すると、突然成功の扉が開くことがある。それが奇跡なのだと思う。

先の、ゴルフのマイケル・ブロック選手も自力で奇跡を起こしたのだろう。そうでもしないと、ホールインワンなんて簡単に達成できるものではない。奇跡は待っていても起こらない。だから、力づくで奇跡を起こすのだ。

 

 

僕の体は、美味いものでできている。奇跡だ!

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。