野呂エイシロウの「ケチの美学」第74回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第74回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

チャラチャラしたい人生

テレビ番組を見ていたら、出演者たちが「子どもの頃の夢」について話していた。

ふと、自分が子どもの頃、何を考えていたのだろうか?などと考えてみた。

僕は、小学4年生から放送部で、そのまま放送作家になってしまった。でも、決して放送作家になりたかったわけではない。

中学校のとき、NHK教育テレビ(現Eテレ)で「YOU」という番組をやっていた。若者向けのトーク番組で、テーマソングは坂本龍一さんによる同名のオリジナル曲だった。

その番組に出ていた大人は、僕の知っているサラリーマンではなかった。なんだろう、コピーライターや漫画家など、今でいう「クリエイター」と呼ばれる人が登場していた。

通勤電車にスーツ姿の父親とは全然違う人々がそこにはいた。

そう、私服を着た“チャラチャラした人々”である。中学生の僕は、そんな大人に憧れた。スーツもネクタイもしていないチャラチャラした大人に。

仕事らしい仕事もせずに、なんだか訳のわからないことをしながら生きていきたいと思った。それがすべての原点である。

本当は、テレビ局に就職したかった。でも、採用試験に落ちた。それで流れ流れて放送作家になった。

それ以降30年間。「YOU」に登場していたクリエイターのように、仕事らしい仕事もせずにチャラチャラして生きてこられた。これは、運のおかげだと思う。運と人との出会いがすべてである。

「野球選手になりたい」というような夢はなかったが、「なんとなく仕事をしたくない」という願望はあった。それも、なんだかんだ叶っているように思う。

「一流大学に入って、一流企業で仕事をする」というのが、親が望んだ未来だったが、全然違う道へ進んでしまった。

でも、まあ人生は結構楽しく、こんな感じでやっていけるのでよかったと思っている。

今日もどうしたらチャラチャラできるかということを考えている。仕事はしていない。ひたすら面白いことをしている。

 

 

トラブルは美味しい。追い求める。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。