野呂エイシロウの「ケチの美学」第72回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第72回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

仕事を超えると見える景色がある

さて、今あなたはどんな状況でこの文章を読んでいるだろうか。仕事中? それともフリーの時間? 食事中? いま、僕は茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブというゴルフ場のレストランでこの原稿を書いている。今日はラジオ局TOKYO FMのゴルフコンペだ。

スタート時間までまだ30分ほどある。その隙間時間に書いている。でも、この原稿を書くのも、ゴルフも、仕事といえば仕事だし、遊びといえば遊びだし、趣味といえば趣味だ。

僕は子どもの頃、勉強が嫌いだった。勉強と遊びが別物だったからだ。それが大きな失敗だっかもしれない。

小学4年生から中学校を卒業するまで、僕は放送部に入っていた。放送機器を使いこなしたり、レコードをかけたり、原稿を書いたりしているうちに、放送作家の礎ができ、そのまま放送作家になった。

そう、放送作家は、勉強や仕事とは違い、遊びの延長なのだ。テレビ局の会議も半分遊びである。文化祭の延長だ。

「お金をもらっているから仕事だろう?」と思われるかもしれないが、ちょっと違う。たとえば、大リーガーの選手は「仕事だからホームラン打つか!」という話にはならないはずだ。

膨大な年俸をもらっていても、そんな気持ちでは無理だと思うのだ。それが「プロ」なのではないかと思う。

やっぱり、子どもの頃、勉強と遊びを分けたのが人生の失敗だったに違いない。知識を得ることが遊びだったら、今頃、別の人生があっただろう。

今もNHKの大河ドラマを見ながら、徳川家康の周辺の人々や、戦などをiPadプロで調べて、歴史に深みを得ている。関連本を読んで、メモを書いたりもしている。

そう、子どもの頃の歴史の時間にもできたことなのだが、あの頃の僕は「歴史上の人物」に興味を持てなかった。

そう、仕事を超えることが僕の人生を大きく変えている。見える景色がある。全部、遊びであり、仕事であり。

子どもの頃の勉強の反省が今生きている。さあ、今日も遊ぼう。

 

 

お祝いの席が続く。プリンを食べたのは何十年ぶりだろうか?

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。