野呂エイシロウの「ケチの美学」第71回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第71回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

愛だな愛

今から30年前の1993年、サントリーのお酒のCMで「愛だろ、愛っ」というコピーがあった。コピーライターの佐藤康彦さんの作品だ。俳優の永瀬正敏さんがCMに登場していた。今となっては懐かしい広告である。最近このCMがふと頭によぎった。時間が経ってもやはり変わらない。すべてに愛を持っているといいなと思う。

原稿を書くときも、MacBookに愛情を持っていると原稿が違う。料理もそうだ。

食材や調理器具にも愛情が必要だ。ゴルフをやり始めてからわかったことがある。ゴルフ道具やボールに愛情を持っているとちゃんと打てる。

ちょっとでもそれ以外の邪念が入ると、失敗をする。

仕事もそうだ。愛情を持っていると非常にうまくいく。会議も資料も愛情があるかどうかで全然違う。

一つのメールもそうである。愛情を持ったメールであるかどうかが大きい。

ボクは、すべてが「愛」と「ラブレター」だと思う。以前『プレスリリースはラブレター』という本を書いたぐらいである。

「愛だな愛」と思う。

人生はすべて恋愛だと思えば、さらに楽しいはずだ。それは異性という意味ではない。

僕が1番愛情を注いでいるのは、「次の1時間」である。

次の1時間に集中して愛を注ぐ。そこには親孝行のLINEも含まれるし、さらに友だちとの約束。ランチの話からプレゼント選び。もちろん仕事まで含まれる。

文章にも愛が必要だ。今日着ている洋服も愛が必要だ。

先の人よりも、今目の前にいる人のことが大切だ。目の前のコーヒー、料理、空間に愛を注ぐ。愛があれば、店にイタズラをしようとは決して思わない。

Macの調子が悪い日もないことはない。でも僕は怒らない。愛があるからだ。

好きなブランドに不具合があっても応援したい。「イタズラ」というのは、相手がクスッと笑ってくれる範囲までだ。

愛を注ぐ。愛があれば解決する問題はいくらでもある。愛だな愛。

 

最近、お気に入りのトーストは引き算の塊でシンプル。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。