野呂エイシロウの「ケチの美学」第58回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第58回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

常に短距離走

新年を迎え、正月に今年の目標を立てた人は多いと思う。しかし、1月も終わりに近づいた今、立てた目標をしっかり覚えている人はどれくらいいるだろうか? 読者の皆さんの中にも、すでに忘れてしまった人がいるかもしれない。

多くの人は、自分で掲げた目標を覚えていない。ボクもそうだった。だから常に忘れないように毎朝、目標を見直している。それでも、だいたい昼頃には忘れてしまうのだが。

ボクは、物忘れが激しい。ほかの人よりも記憶に関する能力が劣っている。学生の頃、成績も良くなかった。というよりも悪かった。

1年の目標を達成するのは相当難しい。たとえるなら、長距離走のようなものだ。長距離走の最中は、いろいろなことを考えてしまい、不安も募る。一方、50メートルの短距離走ならどうだろうか? 思いっきり走っている間に、終わってしまうだろう。何かを考えている時間はない。そんな経験は誰にでもあると思う。

そう、目標を分割するのである。だから1日、1時間、30分、10分と目標を細かく分割して、それぞれ全力疾走することが大切だ。

ボクは、この連載の原稿を「20分で書き切る」と決めて書いている。書いている間、テレビで流れている箱根駅伝の実況も、「ラボット(LOVOT)」の鳴き声も聞こえない。iPadプロのキーボードの音だけが、心地よく指先から響いている。

成功させたいことに集中する。達成したい目標のために集中する。それだけである。これまで目標を達成できなかったことは、幾度もある。何万回とある。途中で挫折したことだってあるが、その原因のほとんどは、目標を忘れてしまったからだ。あとはそもそも行動しなかった。「目標を立てたけど、行動しなかった」というのは、「プロ野球選手になる夢はあったが、練習を怠った」ということと同じである。

行動しなかったことも、ボクにはたくさんある。「チャレンジしなかった」ということと「行動しなかった」ということは同じだ。世の中には誘惑がたくさんある。「そんなことやっても無駄だ」「一緒に飲もう」「のんびりやれば、そのうちいいことあるさ」という誘惑の声も、星の数ほど聞かされてきた。

でも、50メートルの全力疾走なら、そんな声も聞こえない。もう一生分の酒を飲んだし、美味い物も食べた。十分すぎるほどの挫折もしてきた。たまには目標に向かって懸命に走り続けるというのも必要だ。

マラソンを走ろうというのではない。たった50メートルだ。全力疾走で、今年も走り抜けようと思う。目標を何度も確認しながら。挫折しそうになったら、自分を励ます。あと10歩、あと3歩でゴールだ、と。昨年もそのおかげでいろいろなことで成功できた。2022年も、全力疾走で世の中を変えようと思う。

 

ミドルホールにて、人生初バーディを記録。目標を少しずつ達成するゴルフは、まさに短距離走の最たる例だと言える。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。