野呂エイシロウの「ケチの美学」第57回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第57回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

自分の人生に集中する

昨日、とあるアパレルブランドのECサイトを閲覧していて、ダウンジャケットを買いそうになった。金額を見てみると、8万円ぐらい。ちょっと考えて注文を確定したのだが、3分後、すぐさまキャンセルした。

なぜキャンセルしたのかというと、「ボクは何でこのダウンジャケットを買ったんだろう?」と考えたときに、「格好良く見えそうだから」という理由しか思い浮かばなかったからだ。「人からどう見えるか?」ということに、危うく8万円も使いそうになった。

「これを買って自分が幸せになれるかどうか?」という基準だけでは買わない。「無人島に行っても、このダウンジャケットを着るのか?」ということまで考えてみる。

そう、「自分が心の底から欲しいモノかどうか?」と考えることが大切だ。他人の目は、どうでもよい。ほとんどの人が、他人のことを気にしすぎている。家族のこと、親のこと、友だちのこと、会社の上司のこと。それより、「自分はどうなんだ?」という問いに集中することのほうが重要だ。

ボクは日頃ブログを書いているが、実は読者のことはあまり考えていない。自分の思ったこと、書きたいことを素直に綴っている。それが大切だと信じているから。結果的に、それが1冊にまとまって、書籍として世に出すことができた。

世の中や会社というものは、ボクのことを考えていない。考えてくれているとすれば、各種保障制度くらいだろう。生活保護や年金、ライフラインの整備などは、ボクにとっても本当に有り難い。生活保護も、いざとなったら使えるだろう。でも、それ以外のことは、誰もしてくれない(もちろん例外はあるが)。

そう考えると、だんだん贅沢をしなくなっていく。生活レベルが現状維持か、少しづつ下がっていくだろう。ボクの場合、今では接待に使う交際費だって、洋服に掛けるお金だって、どんどん下がっている。クルマも最近では安いものに乗るようにしている。

変わらないのは、書籍代ぐらいだろうか。読みたい本はどんどん買うようにしている。なぜなら知識はあとから武器になるからだ。

贅沢というのは、麻薬のようなものだ。だから、最近はどんどん贅沢を捨てている。できる限り早く身の回りのモノを手放そうと必死である。それが成功の秘訣だと信じているから。

モノを減らすと、選択肢が減る。選択肢が減ると、幸せを感じられる。選択肢が少ないほうが、間違う確率が少ないからだ。

自分にとってベストであれば、それでよいのだ。もしあなたが贅沢をしてたくさんのモノに囲まれたいなら、それもよいだろう。でもボクは、シンプルに生きたいのだ。自分がどんな風に生きたいか。結局はそれ次第である。

そういえば、ゴルフを始めて随分経つ。始めたての頃、次々と新しいクラブが欲しくなる時期もあった。でも今は、現在使っているクラブをとにかくかわいがっている。そのおかげで、以前よりもずっと使いこなせるようになった。この道具は、ボロボロになるまで使い倒すだろう。テニスのラケットも同じである。今使っているMacBookも大好きだ。

自分の人生に集中をする。自分が今、何をしたいのか? どんな生き方を選ぶのか? 己に問いかけてみよう。

 

ボクの新刊『副業は、自己PRがすべて。』(プレジデント社)が発売された。“副業リッチ”の時代の到来だ!

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。