野呂エイシロウの「ケチの美学」第56回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第56回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

アップルウォッチに窮地を救われる

某クライアントと打ち合わせをした帰りのこと。タクシーに乗ったら、iPhoneを車内に置き忘れてしまった。表参道のカフェで、クライアントから貰った名刺を管理アプリ「エイト(Eight)」に入れようと思ったところで、紛失に気がついた。

「領収書を見てタクシー会社に連絡すれば、大丈夫だろう」と思ったのだが、今回は「エスライド(S.RIDE)」というiPhoneアプリを使って乗車していたので、領収書自体が手元になく、アプリからの確認もできなかった。

さっそくiPad版の「エスライド」アプリで確認しようと思ったが、なぜか「使えません」と画面に表示されてしまった。すぐにツイッター(Twitter)経由で「エスライド」アカウントに問い合わせをしてみたが、結局解決することはできなかった。

次に考えたのが、アップルデバイス標準の「探す」機能を使った捜索だ。アプリを起動してみたところ、ボクのiPhoneが今、恵比寿あたりを移動していることが確認できた。[デバイスを探す]タブから[サウンドを再生]ボタンをタップしてiPhoneから音を鳴らしてみるが、応答なし。さらに、アップルウォッチ(Apple Watch)からiPhoneに電話してみたが、誰も出なかった。とりあえず、急いでクレジットカード会社に電話して、万が一のために利用を停止した。

どうにも回収できそうにないので、途中で諦めて、新しいiPhoneを買う手配を始めた。最新のiPhone 13を買おうと思ったが、在庫不足の影響で、手に入るのがずいぶん先になるそうだ。

諦めてiPhone 12を買おうと思ったが、紛失したのとまったく同じモデルを買うのは、なんだか癪だ。だから、iPhone 12ミニにして、表参道のアップルストアで受け取ることにする。これならすぐに手に入る。

ボクにとってiPhoneは、銃のようなものだ。仕事をするうえでの大切な武器である。MacBookプロは重機関銃。iPadプロは、アサルトライフル。「ゴルゴ13」が使っているようなマルチで機動性の高いものだ。そして、iPhoneは拳銃だ。これがないと落ち着かない。

その後、「探す」アプリ経由で紛失したiPhoneの画面に「紛失しました。見つけた方は(電話番号)までお知らせいただけるとうれしいです」とメッセージを表示させておいた。ボクのiPhoneを手にした誰かが、連絡をくれるように。

その間、仕事の電話はすべてアップルウォッチで対応した。これには本当に救われた。iPhoneを失くしても、仕事をそのまま続行できた。ある知らない電話番号から着信があったとき、「お、拾った人かな?」と思ったら、有名スポーツジムからだった。これには少しイラッとした。

そして、ある金融機関とのWEB会議中に、タクシー会社から着信があった。画面に表示させたメッセージを見て、連絡してくれたという。おかげさまで愛機が戻ってきた。感謝しかない。テクノロジーのおかげで、失くしたiPhoneが戻ってきた。今や半日iPhoneがないだけで、精神的にも不安である。戻ってきてうれしい限り。もう二度と失くさないようにしようと思う。

 

標準の「探す」アプリを使えば、失くしたiPhoneの画面にメッセージを表示できる。無事に愛機が手元に戻ってきた。テクノロジーの発展に感謝!

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。