野呂エイシロウの「ケチの美学」第41回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第41回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

自分と交渉しない

毎朝、悩んでいた。

  「走ろうかどうか?」と悩み、時には諦めていた。「今日は仕事が忙しいから走るのはやめよう」「雨が降っているから明日にしよう」などと思っていた。

よくよく考えたら、これはボクがボク自身に交渉を持ちかけているということだ。「走ろうかな? それともやめようかな?」と。

どちらかというと楽なほうに誘ってくる。誘惑だ。

自分の中にもう1人の自分がいて、それが自分自身に「どうする?」と問いかけてくる。だから、きっぱりとそれをやめることにした。

気がつけば、毎日何十回も、ボクはボクに問いかけてくる。「疲れているからビールぐらいいいだろう?」「このプリン食べちゃえば?」などとボクがボク自身に交渉をしてくる。

仕事でも「面倒だな~、明日でいいよね?」「どうせ、やっても無駄だし」と、ボクの心の中にいるダメな自分が、今の自分の自分に話しかけてくる。そしてできる限り駄目なほう、楽なほうを選ぶように迫ってくる。

ボクは、できる限りサボろうとする人間である。だから、自分の中のもう1人の自分が話しかけてくるのだ。

ボクだけだろうか? あなたにもそんなことはあるだろうか?

とにかく、自分自身に交渉するのをやめることにした。そして単純に、決めたからやることにした。だから、ジョギングも続いている。朝、自分自身に交渉をしないから。

行動は、自分自身の精神をも大きく変える。おかげで、昨日まで走って登れなかった坂道を今日は登ることができた。休憩なしに。

決めたから行動する。ただ、それだけである。心が「走れ!」と言ったから走るだけだ。習慣を身につけるためには、「決めたからやる」の連続である。おかげで毎週体重が2キロ~3キロ減っている。

体重が58キロになったら、エディ・スリマンのセリーヌのスーツを着ようと思う。

デザイナーのカール・ラガーフェルドは、彼の洋服が着たいために42キロのダイエットに成功したそうだ。ラガーフェルドの著書を読んだが、ボクにもできそうだ。今日のランチでも炭水化物は摂取しなかった。

新しい習慣は人生を変える。この時代が変わる瞬間にボク自身は次々と習慣を変えている。この半年間一度も着なかった洋服はどんどん捨てた。靴下や下着の種類も一種類に統一した。そのほうがシンプルに生きられる。

コーヒーは一日一杯にした。酒もやめた。

新型コロナの件も政府が悪いとか、人のせいにしたりもした。でも、自分の行動と感情を変えることで被害者意識がなくなった。

とにかく、「幸せ」であることに全力を注いでいる。その習慣を変えようという誘惑と交渉をしないのだ。それができると本当に「幸せ」である。

期待したことのほとんどは起こらない。期待外れだとがっかりする。だから、期待はしない。期待の「待つ」という文字が嫌いだ。待っていても何も起こらない。だからどんどん習慣を変える行動をするのだ。

そして決めたことは自分と交渉しない。それが新しい人生だとボクは思う。

 

 

IT界の重鎮、尾原和啓さんとトークショウ。数字を追うのをやめる。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。