野呂エイシロウの「ケチの美学」第38回|MacFan

アラカルト ケチの美学

野呂エイシロウの「ケチの美学」第38回

文●野呂エイシロウ

人気放送作家が語るケチとアップルの交差点。

仕事をしたくない!

ボクは仕事らしい仕事をしたことがない、と言っても過言ではない。正確には仕事をしたことはあるのだが、ちょっと肌に合わないというか、水が合わないというか…で、今みたいにフラフラしている。

ボクが生まれたのは1967年。昭和42年。生まれて1カ月後に「オールナイトニッポン」が始まった。

13歳のとき、深夜放送にはまり、月曜日の深夜は中島みゆきさんのオールナイトニッポン、そして上柳昌彦さん(ニッポン放送アナウンサー)を5時まで聞いて、朝7時半からのテニスの朝練に参加する日々だった。

必死に、ハガキを書いていた。読まれるたびに、翌日は中学校で大ヒーローだった。おかげで、学校の成績は散々である。

実は、今もこの原稿を当時の中島みゆきさんの放送を聴きながら書いている。学生時代に宿題をやっている気分でこの原稿を書いている。

高校生のとき、フジテレビで「夕やけニャンニャン」を見て衝撃を受けた。おニャン子クラブを見て夢中になった。会員番号4番の新田恵利さんに夢中になった。

うちの高校は夕方も授業があったが、ボクは視聴覚室のテレビで番組を見ていた。先生に「お前どういうつもりだ!」と怒られたが、「先生の授業は明日もあるんですが、夕やけニャンニャンは生放送です。先生、ビデオを買ってもらえませんか? できればナショナルのマックロードを」と言って先生を言い伏せ、テスト以外は夕ニャンを見ていてもいいことになった。

そんなことをしているうちに、ラジオやテレビの中の人って、遊んでいる感じでいいよな~っと思い出したのである。

それで、受験に失敗して浪人中に思った。

「仕事をしたくない。できれば遊んで暮らしたい」っと。

大学卒業後、ちょっとだけ就職もするのだが、「仕事は面倒だ」ということになり、ふらりと東京へ。

それからも「面白いことを考えて生きていきたい。できればリッチに」などという戯言を言っていたらこの年になってしまった。

今でも、時々仕事らしいことをして「あ、仕事をしてしまった」と反省することがある。仕事をすると、だいたいうまくいかない。失敗してお金を失う。

そう、仕事をしてしまうとダメなのだ。MacBookやiPhoneなどを仕事に使うと、どうもうまくいかない。

「野呂さん、放送作家も、この原稿の仕事じゃないですか!」と言われる。確かに仕事なんだけど、そう思って真剣に仕事をするとうまくいかない。大失敗をする。

だから、できる限り肩の力を抜いて、中学生時代にオールナイトニッポンにハガキを書いていた気分で何かをしていると自然と結果が出たりする。そんなものかなと思ったりも。さあ、今日も仕事をしないぞ。

 

 

「三密」を避けて、オープンカフェでZoom会議の日々! 会議も、ボクにとってはデート気分。

 

 

EishiroNoro

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。