「感動し過ぎてこいつ我を失ってしまったみたいです」俺は咄嗟に水戸に向かって声を張った。下手に謝るよりも異常な興奮に乗っかる方が、まだダメージが少ないのではないか。 「俺も本当に感動して、何と言うか、カリスマ性が尋常じゃなかったですよね。天見さん」 「天見様」即座に水戸が大声で訂正した。 「あ、ごめんなさい、天見様。何かもう、俺たち初めてだから、感動しすぎて上手く頭が回らなくて」俺は信者たちよりも更に全力で笑顔を作りにかかった。顔がつりそうになりながら、必死に俺を囲む十人近い信者たちの顔を交互に見る。一人、また一人と、信者たちが俺たちを取り囲み始めた。