真っ直ぐに走り続けてきた我が家が、どうして空っぽの悪に覆われなければならない。一歩間違えれば闇に吸い込まれるほど、社会の表と裏は隣合わせだというのかよ、馬鹿らしい。
起き上がり方を忘れ去った俺の体から、感情の残骸が焦げた匂いを放ち始めた。
「宗教が狂っているだ? せっかく隠れながらこっそり入ってきたんだ。信者たちの満面の笑みを見ただろうが。あれは何だ? 偽物か、作り物か、壊れ物とでも受け取ったか? てめえらの狭い頭じゃ、自分の三十年足らずの何でもない人生に当てはまらない物は、全て間違いか」
汗だくの海斗が逃げずにフル回転で頭を働かせているのが伝わってくる。それを嘲笑うように天見は続ける。