そんな不毛な生活の中、西村の受験が決着を見せた。出来すぎたことに、京都産業大学経営学部も、龍谷大学経営学部も合格だった。国語がいつも通り炸裂したのに違いなかった。青年は、このドアホがいっぱしの大学生になると知り、感動のあまり涙を流しそうだった。
「凄い……よくやった……」
「泣くのはよしたまえ。予定通りだよ」
「よくやったわ俺……」
「え?」
「お前みたいなカスを、俺はちゃんとした大学に入れたんや!」
「……」
「おいこのカス! お前は一生俺様に感謝しろ!」
「はい」
「あえて言おう、カスであると! ハッハハハハ!」
「先生」
「なんや」
「二年間ありがとうございました」
西村は泣いていた。今まで二年にもわたり、ふざけたところしか見せなかった西村が、会話の五割をファーストガンダムのセリフで構成していた西村が、自分の言葉で話そうとしている。青年は慌てて向き直った。