【検索結果】"佐川恭一 "の一覧 ▼カテゴリから探す 文芸 小説 | エッセイ | 詩歌 | 戯曲・シナリオ 実用書 ビジネス | 暮らし・子育て | 語学・教養 | コンピュータ | 将棋・囲碁 | 地図・ガイド スポーツ ゴルフ コミック 写真集・イラスト集 写真集 | 画集・イラスト集 その他 小説 わが逃走 | 佐川恭一 【第10回】 三回生になり、いよいよ社会学専修の勉強が始まった。大講義室で先生の話を聞くだけという受動的なスタイルの授業が減り、小さな演習室で議論し合うという、青年がかなり苦手とするタイプの授業が増えた。 小説 わが逃走 | 佐川恭一 【第9回】 そんな不毛な生活の中、西村の受験が決着を見せた。出来すぎたことに、京都産業大学経営学部も、龍谷大学経営学部も合格だった。 わが逃走 | 佐川恭一 【第8回】 一方、もう一人の生徒、アホの西村も同じく受験直前であった。彼はやはり相変わらず底抜けのアホであり、母親は「同志社か立命館に入れてほしいんです」と抜かしていたが、青年は本当にふざけないでくださいと思っていた。 わが逃走 | 佐川恭一 【第7回】 彼らは前期の試験を終え、夏休みにはこれまでと変わらない自堕落な生活を続けた。田中の家で地球を守り、ラヴァーズ・メモリアルの実況プレイを鑑賞し、流行りのアニメをチェックし、25メートル・プール一杯分ばかりの発泡酒を飲み干した。 佐川恭一 【第6回】 青年は六月の下旬、緊張した面持ちで京阪の四条駅に立ち尽くしていた。二〇〇五年当時はまだ「祇園四条駅」に改名される前であった。 わが逃走 | 佐川恭一 【第5回】 計画当日の正午、青年と田中は京都駅の中央玄関側二階にあるミスタードーナツで、ポンデリングを食べながらコーヒーを飲んでいた。 「これはちょっと早く来すぎたんじゃないですか」 佐川恭一 【第4回】 二月のある日、青年は田中の部屋を訪れた。三倉への攻撃を開始するためだ。 「お待ちしてましたぁ」 小説 わが逃走 | 佐川恭一 【第3回】 しかしそれからしばらくの間、青年は計画の遂行よりも試験勉強に追われることとなった。一回生の一月、冬真っ只中に自宅でこたつに入り、学問をする。それは青年にとって心温まる時間だった。 佐川恭一 【第2回】 田中の部屋に入った瞬間、青年は驚きのあまり呆然と立ち尽くすこととなった。様々なアニメのポスターが部屋中の壁と天井を埋め尽くしている。ほとんどがいわゆる「萌えアニメ」に属するものだ。 わが逃走 | 佐川恭一 【第1回】 彼は逃げた。およそ逃げうる全てのことから逃げ続けてきた。