計画当日の正午、青年と田中は京都駅の中央玄関側二階にあるミスタードーナツで、ポンデリングを食べながらコーヒーを飲んでいた。
「これはちょっと早く来すぎたんじゃないですか」
「いや、三倉は気の小さい男や。かなり早目に来る可能性がある」
「二時間も早く来るやつがいますかね」
「もし俺があいつの立場なら、来るな」
「僕なら来ませんが……気が小さいのは永井君の方なのでは」
「俺は気が小さいが、三倉も同程度やと踏んでる。あいつのは表面化せんだけや」
「そうですかねぇ」
そうこう話していると、三倉に背格好の似た男が中央改札付近にやってきた。
「あれちゃうか?」
「似てますね! いかにも手持ち無沙汰ですぅ」
その男はしばらく改札の前に立ち尽くした後、野球のピッチャーのような動きをし始めた。何故か念入りに投球フォームを確認している。腕を大きく振りまわす彼を、周囲の人がいぶかしげに見ているのがわかる。
「……あそこまでアホやろか」
「ありえます。あの動き、YO! って感じがします」
「言われてみればそうやな」