【第4回】
2016.05.18 | 佐川恭一
二月のある日、青年は田中の部屋を訪れた。三倉への攻撃を開始するためだ。
「お待ちしてましたぁ」
満面の笑みで迎えられ、青年は久しぶりに神の領域に足を踏み入れた。
「くっせ!」
そこには、香水のきつい匂いが充満していた。色んなフルーツの香りが混在しているが、匂いが強すぎてそれはほのかに香るというレベルではなくなっており、製作者の意図に反し明らかに人工的な化学薬品になり下がっていた。
「何これ!?」
「主にダンシング・ジュエルのリミテッドエディションですぅ」
「お前これふりすぎやって! こんな女子高生おらんぞ!」
「そうですかねぇ~凄くいい匂いだと思いますが。くんかくんか」