⑤(カールc、三日月c、古田d)
カールが喋りだす。上手の椅子。後ろでは帽子がティーカップを整える。ティーカップは山根が冒頭で用意したものをそのまま使用する。
カール 総統閣下の命令で、とある大展覧会が催された。それは頽廃芸術展というもので、なにやら不可思議な絵画や草書を展示する展覧会だ。しかし総統閣下の目論見は、それらを賞賛することではなく、コケにすることだった。総統閣下はエネルギッシュな人だから、英雄思想的なものの考えをされていたので、ああいった奔放でわけのわからない芸術を作る人たちがお嫌いだったから、そういえば母さんも嫌いだったよね、国をあげてこきおろす必要があったんだ。僕も上官とともに見学に行った。あの帽子のよく似合う上官と。