昭和4年(1929)
足かけ3年に及び、東京の街に出没した説教強盗がついに逮捕された。大学・専門学校卒業生の3人に1人が就職できないという状況は社会的不安をよび起こした。秋にはニューヨーク株式が大暴落、世界恐慌の始まりを告げた。
説教強盗
大正15年以来、数十件もの強窃盗を行っていた左官の妻木松吉がこの年の2月に逮捕された。
黒装束で強盗に押し入り、金を無心したあげく、「戸締りをちゃんとしなさい」「犬を飼いなさい」などとお説教をするという手口から、『説教強盗』の名がついた。
大学は出たけれど
折からの不況で、失業者が増加、大卒者の就職も厳しくなった状況の中、小津安二郎監督、高田稔・田中絹代主演の映画『大学は出たけれど』が封切られ、大いに大衆の共感を呼び、話題となった。