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就活すごろく、上がりはイタリア 上

【第8回】キートーも楽し 何でも楽し

2015.11.13 | 吉原みどり

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キートーも楽し 何でも楽し


キートーの伴奏も沢山した仕事の一つだった。キートーとは逆さま言葉が好きな楽隊(主にオーケストラマンはみんな自分たちのことをこういっていた)隠語の一つ。トーキー、即ち映画音楽のことである。初めてやったのは東映のアニメ「安寿と厨子王」だった。ふかし芋のクローズアップ。湯気に合わせてヴィブラフォーンでポロリーンと音を入れた。それ以来かつての映画狂としては、夜仕事と掛け持ちできつかろうと、お声が掛かれば二つ返事だ。一九五九年以降から約十年間、日活、東宝、大映、東映その他教育、産業映画まで一頃は週に二、三本やっていた時期もある。
録音は撮影所で行われる。ここでは架空と現実が一緒だ。向うからおいらんが来ると見れば山本富士子だったり、食堂の隣の卓で三船敏郎がボロ着でご飯を食べていたり。
 

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