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就活すごろく、上がりはイタリア 上

【第6回】打楽器奏者 初舞台

2015.11.05 | 吉原みどり

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打楽器奏者 初舞台


約一年後、約束は現実になった。先生は日本フィルハーモニー交響楽団の大阪公演を二十回振ることになり、そこで私を売り込んで下さったのである。曲目は、スペインの作曲家マヌエル・デ・ファリアの組曲「三角帽子」である。六人の打楽器奏者が必要な曲だ。
通常、オーケストラにおける打楽器の正団員は三、四名である。古典派のハイドン、モーツアルト、ベートーヴェンなどのシンフォニーは、ほとんどティンパニー奏者一人で間に合う。しかし後期ロマン派以後、近代、現代の作曲家達はより複雑な音響を求めて、各種打楽器を多く取り入れるようになってきた。それでこの種の曲が演奏される場合、そのために外部から臨時の奏者、業界隠語でトラ(エキストラの略)が呼ばれる。打楽器セクションはこのトラの出番が多い。新人にチャンスが来るのはこういう時だ。

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