【第10回】第四章 一人芝居の幕開け | マイナビブックス

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アルツハイマーの夫を与えられた妻の心の記録

【第10回】第四章 一人芝居の幕開け

2016.11.30 | 岩井智子

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題名は決まった。「アルツハイマー」

 

 長丁場の舞台になりそうだ。いつ終るともしれない公演だ。終わりの見えない舞台、戯曲の予測がまったくつかない。誰一人、同じ場面を経験していない舞台だ。

 演出家と役者とを両立させるにはどうしたらよいのだろう。何をどう演じたらいいのだろう。

 私という手のひらに一人の人生が乗せられた。神のようなことをしてもいいのだろうか。このまま、芝居をはじめてもいいのだろうか。人生四十数年を共に歩んできたはずである。ある日突然その一人の人生を、私は私の内にとりこもうとしている。演出家として、一人芝居を演じる孤独な役者として、舞台を務めなければならない。

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