二人のスタート
われわれの結婚生活のスタートについて少し述べてみよう。そうすることで前章に述べた二つの事件の発端が見えてくると思うからである。彼は大学院生、私は大学生として京都での生活がはじまった。一九五五年のことである。一年目の夏休みに結婚し、文字通り学生結婚のはしりとして新聞までにぎわしてしまうという、当時としては珍しい家庭がスタートしたわけである。彼二十七歳、私二十歳の夏である。私の主任教授はある新聞に次のような一文を書かれた。
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われわれの結婚生活のスタートについて少し述べてみよう。そうすることで前章に述べた二つの事件の発端が見えてくると思うからである。彼は大学院生、私は大学生として京都での生活がはじまった。一九五五年のことである。一年目の夏休みに結婚し、文字通り学生結婚のはしりとして新聞までにぎわしてしまうという、当時としては珍しい家庭がスタートしたわけである。彼二十七歳、私二十歳の夏である。私の主任教授はある新聞に次のような一文を書かれた。