心の中を覗けた思い
私共が仲人をした一組の夫婦の話である。花婿は夫の教え子で、現在は彼と同じ大学で教えていた。我家を訪ねてこられた時、夏休み中は奥さんを通信大学の夏期スクーリングに出席させるため、三人の子供の面倒をみているのだという。「結婚の時の約束ですから」と簡単にいうが、この暑い夏、子供三人の面倒をみるのは並大抵のことではなかろう。私は心底感服して、読書会の時に皆のいる前で彼をほめたのである。これが良くなかった。
「あれは僕へのあてつけか。君だって大学院へ行きたければ行けばいいじゃないか」