夕闇が迫り庭の草も見分けがつき難くなり、藪蚊も出始めた。
私はシャワーを浴びて汗を流し、遅い夕食の支度に取りかかった。ハチは涼しい室内で眠っている。
私自身の餌を作る暇も、気持ちのゆとりもなく、前日、近くの友人が差し入れてくれた赤飯に、イカと野菜の炊き合わせ、それに手のかからないハムと野菜のサラダを添えた。
食事時間は、いつもハチが先だった。ハチは最近、腹八分で食餌を済ませ、自分の餌を少しだけ残す。そして私が食べ始めると私の餌が何かを確かめ、お裾分けを期待する。精進料理などで分け前が少ないと、その時は自分の残した餌で腹を満たした。