【第17回】山で会い、山に還る ― 最後の旅へ(3) | マイナビブックス

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愛犬との出会いと、別れ 上巻

【第17回】山で会い、山に還る ― 最後の旅へ(3)

2015.12.09 | 久根淑江

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 夕闇が迫り庭の草も見分けがつき難くなり、藪蚊も出始めた。

 私はシャワーを浴びて汗を流し、遅い夕食の支度に取りかかった。ハチは涼しい室内で眠っている。

 私自身の餌を作る暇も、気持ちのゆとりもなく、前日、近くの友人が差し入れてくれた赤飯に、イカと野菜の炊き合わせ、それに手のかからないハムと野菜のサラダを添えた。

 食事時間は、いつもハチが先だった。ハチは最近、腹八分で食餌を済ませ、自分の餌を少しだけ残す。そして私が食べ始めると私の餌が何かを確かめ、お裾分けを期待する。精進料理などで分け前が少ないと、その時は自分の残した餌で腹を満たした。

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