また、私にとってハチは人間以上の遊び友達でもあった。
訓練士の言う通り雄には孤独は苦痛のようだった。毎日が長時間の留守番役だったから、私が在宅するときはハチは私にお相手を求め、私も訓練士の助言を忘れず一緒に遊ぶことに努めた。といっても、日常の雑事を片付けながらのお相手が多かったから、ハチにとっては十分ではなかったのだろう。
ハチを庭に放し、遊ばせながら草取りをする。最初、幼犬のときは草取りが何であるかがハチにはまだわからなかった。近くをうろつくので空いている手でかまってやり、相手をしながら草を取る。家の小母さんは何に夢中になっているのだろう? ハチは耳先を動かし、首を傾げ私の手の動きを観察しながら、チョロチョロ動き廻っている。私は、手先で抜いた草をつまんでは塵取りに入れ、入れては場所を少し移動させ塵取りを近寄せる。