訓練所通い
新しい年になるとハチは少しずつじゃれ付くようになり、体力がつくにつれ、それが日に日に激しくなった。
尖った乳歯で噛まれるとチクッと痛いのは子供の頃から経験済みだったが、ハチの乳歯には特別の鋭さがあった。ハチはふざけているのだが、私の手の親指と人差し指の間を噛んで振り回すと、冗談とも思えず表皮が切れて血が噴き出すこともある。
噛ませまいと手を隠すと、今度は足もとに来てズボンを前足で引っ掻き始める。鋭い爪を立て、体重をかけてぶら下がるように引っぱるので、古ズボンはひとたまりもない。ウールを突き刺し、タイツの下のすねの皮膚にまで何本かのみみず腫れが残る。ズボンは、ひらひらとハタキの布切れのように垂れ下がる。