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ソーシャルゲームはゲーム産業をどう変えた?

【第1回】ゲーム専用機ユーザーのSNS利用状況

2014.11.28 | ゲームエイジ総研

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第1章 ゲーム専用機ユーザーのSNS利用状況

 

ここ数年、目覚ましい市場拡大を見せているソーシャルゲーム市場。ソーシャルゲームの台頭が既存のゲーム専用機市場を侵食しているといった論調もよく耳にする。「(新興の)ソーシャルゲームと(既存の)ゲーム専用機市場との関係性」というのが大きなテーマである本書の第1章では、まずはソーシャルゲームそのものではなく、「ゲーム専用機ユーザーがこのSNSをユーザー間のコミュニケーション手段として、あるいは情報収集の場としてどの程度活用しているか」というテーマにフォーカスしたデータをご紹介したい。

アクセス頻度が高いのはTwitter、mixi、Facebookの順

 


 

【図1】は、10歳から59歳までのゲーム専用機ユーザー3,900万人(注1)が普段どれくらいSNSを利用しているかをまとめたグラフである。調査対象としたのはmixi、Facebook、Google+、アメーバピグと、広義ではSNSと捉えてもよいTwitterもこれに加えた計5つのSNSである。
注1:ゲーム専用機を1台以上個人所有しており、平時からプレイ可能な状態にあるユーザー。(ゲーム機本体が故障していたりどこかにしまいこんでいるということがなく、常時配線している、もしくはゲームをプレイしたい時にいつでも配線可能な状態にある)

これを見ると、Twitter/mixi/FacebookとGoogle+/アメーバピグではその利用状況に大きな格差があることが一目瞭然である。前者(Twitter/mixi/Facebook)は「週に一回以上アクセスしている」と回答したユーザーが2割を超えているのに対し、Google+とアメーバピグはどちらも10%以下にとどまる。

この2つのSNS「そのものを知らない」というユーザーも、それぞれアメーバピグが16%、Google+に至っては23%も存在しており、そもそも認知度の面においてTwitter/mixi/Facebookに後れをとっていることが分かる。特に検索エンジンとしてはもはや知らない人はほとんどいないであろうGoogleも、サービスが開始されてまだ1年ほどしか経っていないGoogle+は、その存在やサービス内容が広く認識されているとは言い難い状況にあり、サービス内容拡充とともに、この認知状況を改善することが今後の普及拡大に向けての大きな課題であると言えるだろう。 なお、もっとも活発に利用されているTwitterは、「週に一回以上アクセスしている」ユーザーのうち45%は「一日に何回もアクセスしている」と回答しており、他のSNSに比べて手軽に利用できるというその利便性の高さがそれに大きく寄与していることは間違いない。(【図1】内の参考データ参照)

Twitter利用頻度がもっとも高いのはXbox360、次いで3DSユーザー

 


 

【図2】はこれらSNSそれぞれの「週に一回以上アクセスする」ユーザーと、ゲーム専用機各機種のプレイヤー(注2)をクロス集計したもの。アクセス頻度については「1日に何回も」「毎日一回程度」「2-3日に一回程度」「週に一回程度」まで4段階に区切っている。また、「1日に何回も」の部分の数値については各SNS全体と比べて色分けをして視覚的に傾向をつかみやすく加工している。(全体より上:青/全体より下:赤)
注2:「ここ1週間以内に」対象機種をプレイしたユーザー(調査期間:6-1-6/4)

全てのSNSにおいて全体数値を上回っているのがXbox360。これはある意味イメージ通りだろう。次がPS Vitaで、アメーバピグを除く4つのSNSで全体数値を上回っている。このPS VitaはPSPの後継機種らしく全体の傾向はPSPと非常に似ているが、Facebookは大きな違いが確認できる。PSPがFacebookの全体平均を下回っているのに対し、PS Vitaは逆に大きく上回っており、しかも全機種中もっとも高い数値を示している。これについては、PS Vita専用のFacebookアプリケーションが無料配信されていることが関係していることと無縁ではないだろう。

次に、同じく新旧プラットフォーム比較という観点でDSと3DSの関係に注目してみると、こちらも全体傾向としては近いものの、DSはゲーム専用機としては女性ユーザーが多いプラットフォームらしくmixiの数値の高さが目立っている。一方既に800万台近く(2012年10月14日現在)まで販売台数を伸ばしている3DSは順調に普及が進んでいるとはいえ、まだまだ男性ユーザーが先行しているためか、mixiの数値はむしろ全機種の中でも低い方である。

少々意外な結果が出ているのがPS3。今回の調査では全てのSNSで全体平均数値を下回った。PS3そのものは非常にイノベーティブなユーザーの支持が厚いプラットフォームであるのは衆目の一致するところだが、今回の数値を見る限りではそのこととSNSの利用頻度が必ずしも連動するものではないことを示しており、なかなか興味深いデータである。
※但し、今回は各機種の[プレイヤー]の定義を「ここ1週間以内に対象機種をプレイしたユーザー」と最も厳格に定義しており、よって毎週の変動要素(例えばソフトラインナップ)による影響が出やすくなっていることにはご留意いただきたい。

最近のソーシャルゲーム市場の急成長を受けて、ゲーム専用機市場の対立軸として語られることが目立つSNSだが、メディアとして見た場合は今やゲーム専用機にとっても極めて重要なものになってきていることは言うまでもないだろう。今回のようにそれぞれのプラットフォームとSNSとの関係性を把握した上できめ細かいアプローチをしていくことが、ユーザーとのコミュニケーション戦略上今後ますます重要となることは間違いない。