2016.04.03
最果タヒの詩句ハック Web Designing 2016年4月号
第22回「自動返詩」 詩人が四苦八苦しながら詩をハックする
詩人/小説家の最果タヒさんがデジタルテクノロジーと詩を融合させた作品を毎月公開します。
作品は「shikuhack.jp」で公開中
詩の解釈に答えなんてものはなく、読んだ人の数だけ解釈は存在するんだろう。だから、読んだその人が何かを感じ取ったそのときに、やっと作品は完成するような気がしている。(こんにちは、最果タヒです。詩を四苦八苦しながらハックするタイプの詩人です。このWeb Designingでの連載は今回で最後になりました。いままでありがとうございます!)
以前にイベントで、作家の福永信さんと1分ごと交代で詩を共作するという企画を行いました。詩の言葉は曖昧で、解釈が自由だからこそ、共作をしていても、福永さんと私では全く違う言葉の姿を見ているのだということが実感できておもしろかった。相手の言葉は自分から出てきたように、そして自分の言葉が作りだす渦に、巻き込まれていくことなのかもしれません。
共作のあの渦をコンテンツにできないか。今回LINEの最果タヒアカウントを作りました。話しかけると、自動返信で誌のフレーズがランダムに返ってきます。会話を続けいくことで、一つの詩を共作できるアカウント。詩を吸収していくこと、自分の言葉が詩に巻き込まれていく感覚。会話を飛び越えた現代詩を、ぜひ楽しんでみてください。
- Text:最果タヒ
- 詩人/小説家。第44回現代詩手帖賞、第13回中原中也賞受賞。詩集に『グッドモーニング』(思潮社)、『空が分裂する』(講談社)、『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)。小説に『星か獣になるなる季節』(筑摩書房)、『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』(講談社)。小説『渦森今日子は宇宙に期待しない。』(新潮文庫nex)。今春、詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』発売予定。http://tahi.jp/