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アクセス解析をサイト改善につなげるテクニック 数字を見るだけでは意味がない

クライアントのサイトリニューアルを担当し、大きな成功を収めたイー・バード。どんな解析や分析を行い、クライアントとはどのようなコミュニケーションを取っていたのだろうか? その成功の秘訣を聞いた。

ジオテクノロジーズ株式会社
法人向け地図・位置情報サービス
https://business.mapfan.com/

香月 聡
株式会社イー・バード 代表取締役
浦上 毅郎
株式会社イー・バード ディレクター/データアナリスト

 

アクセス解析の結果を活かし商談につながる問い合せを増やす

Webサイトの制作から集客、アクセス解析までをワンストップで提供する株式会社イー・バード。幅広い分野の事例を手掛けるなか、3年前からは、デジタル地図の分野でさまざまな製品やサービス、ソリューション事業を展開するジオテクノロジーズ株式会社の法人向けサービスサイトの運営に携わっている。

「もともとジオテクノロジーズ様では法人向けサービスサイトをお持ちだったのですが、サイトからの問い合せ件数が少なく、サービス導入に向けた商談にもつなげられていないという課題をお持ちでした。そこで、弊社にてサイトのリニューアルをはじめとする、CVの改善に向けた施策全般を担当させていただくことになりました」

そう話すのは、イー・バード代表取締役の香月聡さん。サイトのリニューアルを始めるにあたり、クライアントとの各種調整などを担当した。その後、実際に改善施策の指揮を執ったのはディレクターの浦上毅郎さんだ。

「問い合せ件数を増やすため、フォームを見直すなど、UI/UXの改善といった基本的な対策も行いましたが、特に私が意識していたのは、サイト自体のPV数はもちろん、最終的な問い合せページのPV数を上げ、CV数を増やすことでした」(浦上さん)

 

導線の改善と戦略的KWの選定が見込み顧客の流入を増やすカギ

浦上さんがまず注目したのは、ユーザーの導線を改善することだった。

「例えばページごとのPV数を分析すると、トップページではなく、意外と深い階層にあるページが一番見られていることがあります。そうした場合、そのページに問い合せバナーを追加するなど、CVポイントとなるような仕掛けをつくる対応を行っています」(浦上さん)

また、法人サイトへの流入を増やすため、途中でオウンドメディアを立ち上げたと香月さんは加える。

「サービスの存在をより多くの方に知っていただき、法人サイトへの集客につなげたいという考えがありました」

もう一つ、Google Search Consoleを利用し、ユーザーがどんなキーワードで法人サイトやオウンドメディアにたどり着いているのかを分析することも欠かせないと浦上さんは言う。

「例えば災害が発生すると、防災地図関連のキーワードでオウンドメディアの記事へのアクセスが急上昇することがあります。そういったトレンド記事にバナーを設置して法人サイトへの流入を促したり、トレンドキーワードに対してリスティング広告をかけるといった対策も行っています」

ただしPV数が上がっても、商談につながらない問い合せが増えてしまっては、社内リソースを圧迫するだけだと浦上さん。いかに商談につながる見込み顧客の流入を増やせるかが重要だと話す。

「Google アナリティクスを活用すれば、サイトを訪問したユーザーの属性を調べることができます。それを元に法人サイトやオウンドメディアそれぞれについてターゲットを定め、そのターゲットに響く戦略的なキーワードの選定を行っています」

 

効率的に新規顧客を獲得するためアクセス解析で次の施策を見極める

ターゲットの絞り込みやユーザー導線の改善といった施策とともにリニューアルを行った結果、見込み顧客からの問い合せはリニューアル前の数倍に。浦上さんは現在、さらなる問い合せ件数の増加に向け、新たなターゲット層を掘り起こしているところだと話す。

「アクセス解析を行っていると、想定していなかったユーザー層がサイトに訪れていることを発見することがあります。そうした場合には、その新たな層に訴求したいキーワードを選定し、まずはオウンドメディアで記事を作成しています。その結果どんな反応があり、どれだけ問い合せにつながったのかを確認。ニーズが高いことがわかれば、LPをつくってリスティング広告をかけたり、法人サイトのコンテンツを拡充するといったアクションを行っています」

その他、クライアントの営業担当者がお客様のニーズを共有してくれることがあり、そこから新たなターゲット層開拓のヒントを得ることもあるという。その場合もまずはオウンドメディアで記事を作成し、法人サイトのPV数への影響などを分析しているそうだ。

「新たなターゲット層が決まったからといって、やみくもにLPをつくったり、法人サイトのコンテンツを変更するのはコストもかさみ、あまり現実的ではありません。アクセス解析の結果を見ながら、次のアクションを検討することが重要です。その際、訴求したいキーワードを単純に法人サイトに増やすよりも、そのキーワードでじっくり深堀りしたコンテンツの方がSEO的には強くなっています。その結果、オウンドメディアの方が検索上位に表示されるため、よりユーザーの反応は見やすいと言えるでしょう。対策によって、法人サイトとオウンドメディアをうまく使い分けることもポイントの一つです」(香月さん)

 

解析結果を視覚的に示すことがより効果的な施策の実施につながる

アクセス解析の結果を施策に活かすことはもちろん重要だが、クライアントと一緒に施策を検討してこそ、より大きな効果が得られると香月さんは言う。

「ジオテクノロジーズ様のご担当者は、アクセス解析の結果に非常に興味を持ってくださっています。そして、その結果を見て、次はどんなアクションを取るべきかなど、どんどんアイデアを出してくださいます。デジタル地図サービスのプロの意見を踏まえて施策を検討できたことが、今回の事例が成功した大きな要因の一つだと考えています」

では、クライアントにアクセス解析の結果に興味を持ってもらうためには何をすればいいのか。浦上さん曰く、当たり前のことでもクライアントに共有することと、データの見せ方がポイントだという。

「クライアントには、月一回ほどの頻度で結果を報告していますが、急にPV数が上がったなど、興味深いデータが取れたときには、それがどんなに些細なことであっても、定期報告とは別にすぐに共有するようにしています」

なお、報告の際には、Googleデータポータルを使ってアクセス解析の結果をグラフ化し、視覚的かつシンプルな形で共有するようにしているそうだ。

「わかりやすいデータであれば、クライアントのご担当者がそのまま別の部署や決裁者にも共有でき、いろいろな部署を巻き込んだ施策もスムーズに行えるようになります。また、施策の効果が一目でわかれば、関係者のやる気にもつながります。予算が増える可能性もあり、その結果打てる施策の質や数も増えていくため、より良い効果を得られるようになるはずです」(浦上さん)