2021.11.05
【コラム】Webデザインの原体験 今号のお題 [プログラミング]
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
今回のテーマは「プログラミング」。最近は小学校でのプログラミング教育が必修になったり、プログラミングスクールの新設が増えたり、メディアでも取り上げられたり…と、Web業界のみならず、世間的にだいぶ馴染みのある言葉になってきたのではないでしょうか。
私が小中学生の頃は、プログラミングの授業は無かったのですが、当時は自分のホームページをつくるのが流行っていました。かく言う私も日頃から家に帰るとずっとパソコンをいじっているような子どもでした。自由度の高いデザインにはHTMLの知識が必要なので、クラスの大半の子は、今でいうノーコードツールのような簡易的なホームページ作成サービスを使っていた気がします。こうしたサービスはテンプレートが固定されていて、デザインが被ってしまうことが多々ありました。他の子との被りを避けたかったうえにこだわりが強かった私は、今はなきモバイルスペースというビルダーでホームページを作成。初めは右も左もわからないので、わからないことにぶつかって調べることの繰り返しでしたが、このコードを書いたらリンク先の設定が出来る、フォントの色が変わる、など少しずつできることを増やしていきました。こうして自由度の高いホームページをつくっていったのは、中学生の自分にとって小さな成功体験が積まれていく感覚に近かったのだと思います。当時はホームページを1~2カ月に1回リニューアルして、その度にコードを書き直したり、ペイントツールで画像を加工して好みのデザインをつくるのがとても楽しかった記憶があります。大人になると自分のポートフォリオサイト制作すら腰が重くなってしまうのに(笑)。
そんな中学生の時の体験が、プログラミング言語に初めて触れるきっかけでもあり、デザインの面白さに気付く原体験だったと思います。その後再びプログラミング言語に触れるのは約10年後、デザイナーへの転職を本格的に目指した時になるわけなのですが、当時の経験があったからこそ、つまづくことも少なく学習が進められました。
デザイナーとしてのファーストキャリアはWeb制作会社でしたが、当時の上司に「100%コードが書ける必要はないと思うけど、何を書いたらどんな風に動くのかを知識として知っていることは必要。初めのうちは1から自分でつくってみると、一連の流れもわかるし勉強になるよ」と言われたことを今でも覚えています(ちなみに、その上司はアートディレクターでしたが、「電車遅延で出社が遅れた日の遅延証明書を鉄道会社のサイトからダウンロードし、証明書をメールに添付して総務担当に送信をする自動システム」を自作で組んでいました)。
また、Webサイト制作ではエンジニアの方との連携が必須ですが、「知っている」ことでお互いのコミュニケーションが取りやすくなりますし、提案もしやすくなります。こうした知識や引き出しの量が依頼側に回った時に生きてくるんだな、と改めて感じました。
プログラミングに限らず、Web業界は流行り廃りの波も速いため、日々仕事をしていると常に情報のアップデートが必要だと感じる場面が多いです。そうした中でも、知らない領域を食わず嫌いせずにまず触れてみる、知ってみることを、今後も忘れずに心掛けていきたいと思っています。