【コラム】Mr. CHEESECAKEが築く、ファンとの程よい距離|WD ONLINE

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Web Designing 2021年6月号

【コラム】Mr. CHEESECAKEが築く、ファンとの程よい距離 今号のお題 [EC]

さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。

今回はECがテーマということで、チーズケーキのECブランド、Mr. CHEESECAKE(ミスターチーズケーキ、以下ミスチ)について話します。販売開始から今年で3年目ですが、最近はセブン-イレブンとのコラボ商品の販売もあったことから、知名度も上がってきているのではないでしょうか。

ミスチでは、チーズケーキ1本の販売価格が4,000円台~(簡易包装のものは3,000円台~)と、街のケーキ屋さんで購入するより高めの金額設定になっています。それでも、毎週日曜・月曜の朝10時から販売が開始されると、直後に売り切れてしまうほど。私も購入するときは、5分前からスマホとにらめっこしています(笑)。ケーキは冷凍で届くのですが、ベイクドともレアともバスクとも違うチーズケーキの味と、解凍時間によって変わる食感で、一度食べるとクセになります。

そもそも私がミスチを知ったきっかけもSNSだったと記憶しているのですが、SNSでのファンの心の掴み方やコミュニケーションの取り方が上手いブランドという印象です。ブランドの公式Instagramでは、限定フレーバーに関するアンケートやクイズなどをストーリーズで実施しています。また、ハッシュタグ「#mrcheesecake」で投稿された写真を定期的に公式アカウントが紹介しており、ファンとのコミュニケーションを深めながら、おしゃれで美味しそうなチーズケーキが写ったさまざまなパターンの写真をアップしています。至る所で購入者に歩み寄るような工夫がされており、ブランドとファンの向く方向が揃って初めてブランディングが成功するんだなと改めて気付かされました。

また、ここ2年は特に、季節限定フレーバーが発売されていて、購入できたユーザーは「買えた」というコメントと一緒に、購入画面のスクリーンショットをSNSにアップすることが多いです。さらに、商品が届いてからは、お皿に乗ったチーズケーキの写真と感想をSNSにアップするのが一つの流れになっています。1回の購買で2度も人の目に触れる機会を購入者自らがつくり出していることになります。

かくいう私も、「購入できた」「届いた」と2度SNSに投稿したことがあるファンの一人なのですが、通常販売しているチーズケーキを楽しんだあとは、ぜひ限定フレーバーにも挑戦してほしいです。

過去に食べたなかでランキングをつけるとしたら、1位は2019年のクリスマス限定フレーバー「ストロベリー ピスタチオ」、2位は2021年のバレンタイン限定フレーバー「キャメル プラリネ シトロン」、3位は2020年のバレンタイン限定フレーバー「クロ カカオ ラズベリー」かな…と写真を見ながら振り返りました。こうして見るとランキング外としたフレーバーも含め、ミスチにかなり貢いでおり、回し者のようなコラムになってしまったのですが(笑)、普段はあまり自分用にお菓子を買わないので、ご褒美としていつも楽しんでいます。

おそらく戦略的に練っているであろう購買設計を、「戦略的」と感じさせず、純粋な気持ちで商品を楽しめるのは、SNSでのコミュニケーションによって、ファンとの程よい距離感を実現できているからではないでしょうか。今後より一層、こうしたコミュニケーションありきのECブランドが増えていきそうだと感じるとともに、新たなブランドとの出会いがあると思うと、消費者としても楽しみです。

私も1人のファンとして、さまざまなフレーバーを購入しているほか、SNSにも投稿しています。なかなかクセになる美味しさです。 https://mr-cheesecake.com/
ナビゲーター:小島香澄
株式会社KOS デザイナー。ハウスメーカーに新卒入社、資料のデザインが褒められたのをきっかけに、デザイナーとしてWeb制作会社に転職。日々の学習記録をSNSで発信していると、“モテクリエイター”として活動するゆうこす(菅本裕子)の目に留まり、2019年より現職。ゆうこすの手がけるサービスやプロダクトのデザイン全般を担当。 Twitter:@_mi_su_ka_

掲載号

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