2021.03.04
【コラム】EC制作で感じた、「共感」を設計する大切さ 今号のお題 [コンテンツ]
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
普段からデザイナーとして、有形無形を問わず、コンテンツを届けるためのツールとしてWebサイトやSNSまわりのクリエイティブをつくっています。そんな私にとって、2020年は「Shopifyを使ってECサイトをつくりたい」というご相談を多くいただいた1年でした。
Shopifyに限らず、今は個人でもWeb上で気軽にコンテンツ(=モノ)を販売できる時代です。特にコロナ禍による巣ごもり需要が高まったことも相まってか、食料品やお家で過ごすためのアイテムなど、改めて有形のコンテンツにも注目が集まっていると感じます。その一方で、ここ数年は特に、「ブランドのストーリーに対するユーザーの共感」を大切にしている企業や商品・サービスが増えてきている印象もあります。
私がShopifyを利用してECサイトをリニューアルした案件でも、「自社ブランドのメッセージに対して、ユーザーが共感する」ということは、大きなテーマでした。ここでも、実際に2つの事例を簡単に紹介してみようと思います。
まず、一人暮らしの女性向けメディアを運営したり、インテリア小物を販売している「LittleRooms」。「毎日訪れたくなるサイトにしたい」というお話から、「ライフスタイルを提案する記事を用意し、その記事を読んでもらいながら、登場する商品をチェックして買ってもらう」という導線を設計しました。これは「同社のファンであるユーザーにとっては、ECサイトとしての役割を前面に出すより、ストーリーとともに発信した方が購入ハードルが低くなる」という仮説に基づいています。
また、全国の日本茶をセレクトし販売している「Far East Tea Company」に関しては、「セレクトに対する想いと商品のバックグラウンドに共感してもらう」をテーマにリニューアルしました。
いずれも、単なるECサイトの枠に囚われない、ユーザーが持つブランドへの共感の部分を間違えないよう、デザインに落とし込んでいくことが必要でした。余談ですが、どちらのお仕事も、初回の打ち合わせの段階で商品やサービスに対する社員の皆さんの想いが伝わってきて、着手する前からワクワクしたのを覚えています。
2021年もまだまだ新型コロナウイルスによる生活への影響は続きそうです。そんな中でも日々新しいコンテンツはどんどん生み出されています。
私自身、日頃から業種問わずWebサイトを閲覧することが多いですが、コンテンツの裏に隠された想いやストーリーが表れているWebサイトを見るとグッと心も掴まれますし、結果的に印象にも残りやすい気がします。発信する側としても、共感や人の想いは伝播するからこそ、デザインでその想いをうまく伝えられるように、これからも一つひとつのお仕事と向き合って行けたらなと思います。