2020.11.23
【コラム】2020年 チームツール最適化の旅 今号のお題 [ツール]
さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。
私は新規事業に携わることが多く、チームでは以前から使っているツールが決まっているわけでもないので、いつもツールを選定するところから始まります。チームメンバーが参照しやすいようにさまざまなグループ分けや整理が必要なので、社内Wikiのようなサービスに使い勝手の良さを感じます。私はスモールチームで仕事することが多いこともあり、結果として今は「DocBase」を使っています。
今回、その選定プロセスについて書こうと思ったのですが、正直これらのサービスは機能的には横並びで、使い勝手や好みで選んでいます。ですが、実は一瞬だけ別サービスに浮気をして(!)また戻ってくる、という出来事があったので、今回はその紆余曲折についてお話したいと思います。
私は普段、「UX MILK」というデザイナーやエンジニアがたくさん出入りするコミュニティのようなものを運営しているのですが、2019年あたりから「Notion」というサービスが特にデザイナーさんの間で流行っていました。触ってみると、とても今風なビジュアルで、デザイナー受けしそうなサービスだなというのが最初の印象でした。絵文字を多用したり、メリハリのあるタイポグラフィなどでiOSのデザインに近く、なるほど、と思いました。テキストドキュメントをマークダウンでまとめていけるのはもちろん、「Trello」のようなカンバン機能もあり、スプレッドシート、カレンダーもありと、プロジェクトにまつわるデータはこちらにすべて集約できるのが強みです。
特に面白いと感じたのが、データベースの持たせ方です。スプレッドシートで入力したデータは、カレンダーやカンバンなどのデータとして吐き出すこともできます。データ構造をしっかりつくってしまえば、あとから予定の部分をカレンダーとして表示したり、他のデータを軸としてカンバンをつくったりと、かなり自由度が高い設計となっています。
この自由さをなんとか取り込みたいなと、私も一時期面白がってチームに半期ほど導入してみたのですが、これがなんとも難しい。チームに導入してみてすぐに気づいたのは、自分が苦労してカスタマイズしたお気に入りの可視化方法が、必ずしもチームにとって見えやすいとは限らないということです。いろいろとカスタマイズできるが故に、終わることのない“チームツール最適化の旅”が始まったような気もしました。
また、ドキュメントをつくるたびに絵文字を決めたりと、装飾部分でも迷うことが多く(やらなければいいのですが、ついやってしまう)、私のチームでは総じて「運用負荷が高いツール」という認識になってしまい、結局は以前に使っていたDocBaseに戻そう、ということになりました。
メンバーの性格によるとは思うのですが、私のチームにとってはNotionは機能過多で、ツールを使いこなすというより、ツールに踊らされる印象が強く残りました。DocBaseはシンプルな設計思想で、思いついたメモを手軽に残していくスタイルですし、あまりいじくるところもなく、使いやすさが優れていました。カンバンやスプレッドシートなどが統合できる点もメリットですが、1サービス1機能でシンプルになっている使いやすさが勝ったという結論です。
右往左往してしまいましたが、ポジティブに捉えると、新しいツールを導入してみたことで自分及びチームのメンバーの性格・ワークスタイルがまたひとつはっきりしたとも言えます。大きいチームではなかなか難しいかもしれませんが、たまには新しいサービスに冒険してみるのもいいかもしれませんね。