2020.06.25
リモート共創での企画と制作の進め方(2) 効率的でスムーズなプロジェクト進行を実現する
クリエイティブエージェンシーのmonopoは、以前より世界各地のクリエイターと共創しています。そのために、リモートでの制作経験を積み重ねてきました。同社の佐々木芳幸さんと高橋健太さんに、リモートでの制作の進め方やそのメリットを伺いました。
4.複雑なプロジェクトをツールで管理する
プロジェクトを一元管理できる「Notion」
前述したGoogleドキュメントを使った共同編集は、小さなプロジェクトやアイデア出しの段階ではとても使いやすいのですが、中~大規模のプロジェクトを進めていくとなると、タスクの種類が分散するので管理が難しくなります。そうした際は、プロジェクト管理のためのツールを活用しています。
さまざまなツールがあるので何がベストとは言い切れないですが、最近は「Notion」をよく使っています(07)。GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシート、カレンダー、タスク管理ツールのTrelloやBacklog、チャットツールのChatwork、ソフトウェア開発プラットフォームのGitHub、Wikiなどと同等の機能が、全部これ一つに詰まっています。そのため、プロジェクト管理に複数のツールを使わずに「これだけ見ればいい」のがNotionを使う上でのメリットです。
用途ごとに単機能で素晴らしいツールもあるので、それらを組み合わせて使うメリットももちろんありますが、管理が難しくなります。複数のツールをまたいで使うと、たとえばこの内容はGoogleスプレッドシートのタブを移動して、これについてはスライドのコメントをさかのっぼてと、マルチタスク状態になっていきます。さらに、タスクごとに使うべきツールを覚えたり、メモをして管理をするという手間が発生してしまい非効率的です。すべてのタスクをNotionで一元管理することにより、ツールごとの使い分けを記憶したりメモしたりしていた分の頭のメモリが、他のことに使えるようになります。
monopoでは、Notionの機能であるボードとカードでデザインの構成をまとめるほか、実装まですべてのタスク管理、Wikiによる情報集約、データベースでの情報管理などを活用しています。その他、見積もりの項目とその内訳のノート、デザインのフィードバック管理、具体的なデバッグのタスク管理まで、すべてこれ一つで完結します。UIが優れているので使いやすく、絵文字が使えるのも便利です。無料でも使え、iOSやAndroidアプリも提供されています。
まだ新しいツールなので利用者は多くないかもしれませんが、すでに多くのユーザーによるコミュニティができています。機能紹介記事がWeb上でもたくさん公開されているので、関連情報を得やすい点も良いところです。今後はますます浸透していくのではないかと思います。
ただ、Notionはカスタマイズ性が高く、その方法もたくさん公開されているため、こだわれば一日中カスタマイズに時間を使ってしまいます。あまり凝って時間をかけすぎないよう注意が必要です。どのツールにおいても、ツールを使う時間と、ツールを使うために情報をインプットする時間はできるだけ短く利用できることが大事だと思います。使ってみて、「繰り返しこの作業をしているな」と思ったらショートカットをつくったり、より良い方法を調べたりという、「時間をかけないための時間のかけ方」を工夫することが大事です。