2020.04.21
デジタルマーケティングの潮流と実態 導入状況、運用体制、予算、効果など
デジタルマーケティングの必要性は多くの企業が感じていると思いますが、実際にはどの程度取り組み、どのような手応え・課題を感じているのでしょうか。実際の調査データから見える潮流や実態について、独立系ITコンサルティング・調査会社「ITR」シニア・アナリストの三浦竜樹さんに伺いました。
1.デジタルマーケティングの導入状況
DATA1_デジタルマーケティング関連製品・サービスの導入状況
数ある施策の中で1つのみを実施している企業もあれば、複数の施策のデータを集約・分析し適切な施策へと改善している企業もあります。「Web広告配信」「メール送信」「アクセス解析」「モバイル向け広告配信」「動画広告配信」の順で各42~34%と多くなっていて、広告系が先行しています。しかし、近年注目されている「プライベートDMP」や「統合型マーケティング支援」も今後導入が加速していくでしょう。

2.デジタルマーケティングの運用体制
DATA2_デジタルマーケティング推進部門/チームの構成比率
デジタルマーケティングを推進する部門/チームとしては、「社内の専門部門/チームを設置」がもっとも多く、この体制に「外部人材も含めたチーム」が次に多くなっています。一方、既存のマーケティング部門で推進している企業は、「基本的にマーケティング部門のみ」が約2割、「デジタル専門のチームを設置」「IT部門や営業部門からもメンバーが参加」が共に約1割となっています。ただし、このデータの調査対象は、デジタルマーケティングの重要性が高い、ECサイトや会員制サービスを提供する企業が中心である点には留意が必要です。

DATA3_[業種別]デジタルマーケティング推進部門/チームの構成比率
DATA2を業種別で見たデータです。流通では「社内の専門部門/チームを設置」が5割以上と高い一方で、製造ではこれらが低く、「マーケティング部門内にデジタル専門のチームを設置」が他業種と比べ高めになっています。変わったところでは、通信では「マーケティング部門以外の部門内に専門のチームを設置」の比率が約2割と高いです。流通では、従来からの店舗におけるマーケティング施策とO2Oなどのデジタル施策の融合が求められ、それらを統括あるいはブリッジとして機能する別組織の重要性が高いのかもしれません。


- 教えてくれたのは…三浦竜樹
- 株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト。企業におけるクライアント運用管理(仮想化/DaaS)、Web/EC戦略策定、マーケティングオートメーションやCDP、SAF / CRMなどのマーケティング、SalesTech分野、およびこれら業務領域での音声認識など、AI適用に関するアドバイスやコンサルティングを提供している。 https://www.itr.co.jp/