【コラム】データと空気|WD ONLINE

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One's View コラム Web Designing 2020年6月号

【コラム】データと空気 今号のお題「データ」

さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。

テーマが「データ」ということで、デジタルマーケティングにおける数値検証の話でも細かくしようと思ったのですが、新型コロナウイルスに伴う世間の変化もあり、通常の数字とは大きく変わっています。今回は、この状況に際して、デジタルマーケ担当として感じていることを書きます。

ローソン公式Twitterのフォロワーは480万人。企業のTwitterアカウントの中では1番多くのフォロワーさんがいます。いつもは、毎週火曜日の新発売商品を拡販するためにWeb動画をつくるなど、バズる販促手法を検討していました。

しかし、会社は2月下旬からリモートワークになり、3月上旬には学校が休校になり、この原稿を書いている4月上旬にかけて一気に状況が変わりました。ローソンの社内報では中国のメンバーが頑張っている様子が紹介されています。日本のローソンもちょっと尻込みしてしまいそうな世の中の空気がありましたが、以下の3つの取り組みを実施することにしました(3月末時点)。

1. おにぎり約58万個を学童施設にランチとしてお届け
2. 休校中のお子様向けに、キャラクターぬりえの無料開放
3. 牛乳の消費支援として、ホットミルクの半額セール

これらの取り組みを実施するにあたって、Twitter上ではどう伝えたらいいのか、とても迷いました。2月中旬までは、OLさんをターゲットに「ご褒美にデザートはいかがですか?」のようなメッセージを普通に伝えていましたが、この1カ月で状況は大きく変わっています。フォロワーさんは少なからず不安を抱えているだろうし、同じメッセージであっても1カ月前とは受け取り方が異なるかもしれません。

投稿内容は、世間の空気と自社の立ち位置を踏まえて慎重に検討する必要がありました。自画自賛になってもいけないし、お客様にも、約19万5,000人いるローソンクルーにも、嫌な思いをさせてはいけません。短い文章であっても、いつも以上に時間をかけてコピーを考えます。

投稿後はリアルタイムで反応が返ってきますので、「リツイート」や「いいね!」はもちろん、リプライの内容でネガティブなものはないかとハラハラして見ています。また、エンゲージメントの数字についても社内で反応を共有しています。大変な時だからこそ、データと向き合うこと、受け手の声から世間の空気を汲み取る大切さを改めて感じました。今後も、480万のフォロワーさんがいるSNS担当として、「データと空気」を読んでローソンの取り組みをお伝えしていこうと思います。

このコラムを2016年から3年半担当しましたが、今回が最終回です。連載の開始当初は課長だった私も、今では部長になりました。自分の文章が世の中に出ていく経験は貴重だったと思います。読んでくれた読者の皆様、編集部の皆様、本当にありがとうございました。

大変な状況だからこそ、SNS担当としての責任をいつも以上に意識し、会社の取り組みをフォロワーの方々へ伝え続けています

 

ナビゲーター:白井明子
(株)ローソン マーケティング本部 部長  デジタルドリブンな取組の推進を担当。「Web人大賞」、日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー準大賞」受賞。ACCネットワーク委員会広報チームリーダー、法政大学イノベーションマネジメント研究センター客員研究員。http://www.lawson.co.jp/

掲載号

Web Designing 2020年6月号

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