2020.03.04
Webの力を引き出すCMS+αの提案 活用しないと“もったいない” Webの可能性を考えよう
どの企業も必ず持っているWebサイト。それをただ会社案内として使っていては「もったいない」と思いませんか? 多数の企業サイトを構築している株式会社インフォネット代表の岸本誠さんに、CMSを軸にしたWebサイトのビジネス活用について聞きました。
現在、多くの企業ではCMSを使ってWebサイトを管理・更新しているでしょう。しかし、ただ会社情報を公開するためだけに使っているとしたら、それは「非常にもったいない」状態であると、株式会社インフォネット 代表取締役社長の岸本さんは指摘します。
「Webでモノを買うことが当たり前になったいま、BtoCで発展してきたマーケティングテクノロジーをBtoBでも活用する流れが顕著になっています。もしWebからの問い合わせが月1件から10件になれば、大きな営業支援になるはずです」(岸本さん、以下同)
では、具体的にどのようなテクノロジーが役立つのでしょうか。
まず思いつくのはCRMやMAツールによる“接客”のカスタマイズでしょう。CRMは訪問者の行動を個別にスコアリングし、MAはそのスコアに応じてポップアップを出したりメールを送ったりします。ここにCMSを連携させることで、ページ内の画像をレコメンドしたい内容に貼り替えるなど、より自然にパーソナライズすることも可能です。しかし、成果を出すには適切にシナリオを構築し、仮説~検証のPDCAを回して精度を高めていく運用体制も整えなくてはなりません。
また、CMSに蓄積されたデータをAIチャットボットやスマホアプリ、スマートスピーカーなど、新しい接点に活かす方法もあります。こちらもただ新しさに着目したのでは本質的な価値に貢献しないものになる恐れがあります。
「私たちが最初に行うのは技術的な提案ではありません。調査・ヒアリングを重ねて顧客企業のビジネスモデルをよく理解し、そのWebサイトにおいて解決すべき課題を見つけることです」
企業のWebサイトにはどのような課題があり、どのような提案が効くのでしょうか。その事例を見ていきましょう。
基幹システムとの連携でWebが最速営業ツールに
例えば、製品の製造・販売を行うメーカー系企業では、ECを行っていなくても自社サイト内に製品情報ページがあるでしょう。しかし、それが基幹システムと連携されていないケースは少なくありません。基幹システムの製品データベース(DB)には社外秘の情報も多い一方で、製品名・型番・仕様書など積極的に顧客企業へ提供するべき情報もあります。
DBの情報がWebページに反映されないと、営業担当者は分厚いカタログやプリントした仕様書などの資料一式を持ち歩かなくてはなりません。その製品を求める潜在顧客が検索で見つけてくれることもありません。
「こうした場合、DBから必要な情報をCMSに送り、自動的にWebサイトに反映される仕組みをご提案します。常に最新の情報が反映されるので、営業の際はWebページを使って顧客に説明することができるようになります」
自動化は文字入力やリンク先のミス、情報解禁日時の間違いといったヒューマンエラー防止にも役立ち、内製化によるコスト削減効果も期待できます。
このような事例は多く、作業工具の製造販売などを行う(株)ロブテックスもそのひとつです。基幹システムとの連携により2,000点におよぶ製品データの更新を自動化しました。
「実は、同社から最初に聞かれたのは『サイトをカッコよくしたい』という社員の声でした。しかし、ヒアリングするうちに本質的な要望が見えてきたのです。担当者が兼務だから、人手が足りないからと、本当にやりたいことを無意識に諦めている方も多いかもしれません。しかし、テクノロジーによって実際には少ない労力でそれを実現できるかもしれないのです」
基幹システムやCMS、CRMに溜めるだけになっている情報はありませんか? それを棚卸ししてみると、営業や業務サポートに役立つWebサイトづくりの材料が見つかるかもしれません。