2020.01.08
人間性と柔軟性を重視したチームづくり コンセプトはトップダウン、タスクはボトムアップで実現
2019年11月23日、24日の2日間、東京国際フォーラムにて開催されたデザインカンファレンス「Designship」。大盛況を収めたこのイベントの背景には、一般社団法人デザインシップ 広野萌さんのサービス構築の知見が生きていた!
Designship
https://design-ship.jp/
“デザイン”の今までとこれからのあり方を考えた
デザインシップとは、デジタルデザイン、プロダクトデザイン、グラフィックデザインという3つのデザイン領域を融合させ、その最前線で活躍する人々の体験や話を共有するカンファレンス。2018年から開催され、今年で2回目を数える。なぜそれぞれの領域でスキルを極めていくようなものではなく、融合する場が必要だったのか?
「世界は今、第3次産業革命が終わり、第4次産業革命に移ろうとしています。これまではグラフィックデザイナーは広告を、デジタルデザイナーはUIをつくれたらいいと役割が分かれていました。しかし第4次産業革命の時代では “リアルな製品”と“デジタルサービス”が融合していくうえに、技術はどんどんコモディティ化していくためサービスや法人が持つ“ブランド”が競合優位性を発揮するようになります。そのため、その3つを対象とするプロダクト・デジタル・グラフィックのデザイナーは融合していくべきだと考えました」(広野萌さん、以下同) デザイナーに必要な場とはどんなものか考えた広野さん。エンジニアが主役のカンファレンスである、Android技術の情報共有とコミュニケーションを目的とした「Droidkaigi」やiOSに関する「iOSDC」のデザイン版のようなものがいいと思い至った。
3人の理事が、自然発生的に役割を分担した発足当初
DroidkaigiやiOSDCの形式に魅力を感じたのは、単に海外の事例を学ぶ勉強会や著名人の基調講演を聞くだけの講演会ではないから。現場で頑張るクリエイターが、意見やスキルを共有するのはすばらしいと感じていた。
「思いついた瞬間に、一般社団法人デザインシップで理事を一緒にしてくれている2人の仲間にFacebookでメッセージをしたら、“いいね”がすぐに返ってきました。その翌日に、まずは名前を決めたかったので集まって。リーダーシップやオーナーシップのデザイン版で、“デザインシップ”に決定。オンラインで商標が取れるサービスを利用して、その場で商標登録しました」
ここまで走りだしてはいたが、どのようなカンファレンスにするのか言語化されたものはなかった。ただあったのは、ベンチマークしているのがDroidkaigiやiOSDCなので、「1年に1回実施する」「500~1,000人規模で集客する」「第一線の話を聞きたいから、スピーカーは公募にする」ということ。それを具体化していくにあたり、TEDのようにまるで映画館や、劇場でひとつのショーを観ている気分になるような場を用意したい。そのためには、多くの資金が必要なので協賛金を募らなければ…など、やるべきことが見えてきた。
「初回なので、ワクワクするクリエイティブと、確固としたコンセプトが必要だと感じました。コンセプトは私が、クリエイティブはもうひとりの理事が担当。ティザーサイトを準備している一方で、別の理事が先行してスポンサー集めに奔走するなど、役割分担ができていました」
コンセプトを載せただけのティザーサイトが公開されたときには、すでに10社のスポンサーが決定。Twitterでも反響があり、核となるメッセージを発信することの大切さを痛感した。